重症COVID-19入院患者への新たな治療薬検証する臨床試験開始へ/WHO

WHOは、8月11日付で発表したプレスリリースにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した重症患者に対し、マラリアやがん治療などに使われている既存薬3種の治療効果を検証する臨床試験(Solidarity PLUS trial)を開始することを明らかにした。臨床試験は52ヵ国600超の病院から数千人規模の入院患者を登録し、実施される見通し。
WHOは、既存候補薬のCOVID-19入院患者への有効性を検証するため、オープンラベルのランダム化比較試験(Solidarity trial)を2020年3月から実施。単一のプロトコルを使用して同時に複数の治療法を評価するもので、試験の過程を通じて効果のない薬剤については評価を打ち切る一方、新たな候補薬を逐次追加できるデザインだ。これまでに、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル、インターフェロンβ-1aの4剤について評価が行われ、いずれも有効性が確認されず、すでに試験が打ち切られている。
今回、評価の対象となる1つ目の候補薬は、抗マラリア薬のアルテスネートで、本試験では重症マラリア治療に推奨される標準的な用量で7日間静脈内投与される。2つ目の候補薬は、慢性骨髄性白血病などのがん治療に使用されるイマチニブで、本試験では1日1回、14日間経口投与される。3つ目の候補薬は、クローン病など免疫疾患の治療に使用されるインフリキシマブで、本試験では、単回で静脈内投与される。これらはいずれも独立した専門家パネルによって選択された候補薬だという。
COVID-19を巡っては、感染力の強さと急激な症状悪化が見られるデルタ株のまん延により、人口の多くでワクチン接種が進んだ国においても感染制御に苦慮している。WHOのテドロス事務局長は、「COVID-19患者に対する、より効果的でアクセス可能な治療法を見つけることは依然として重要なニーズだ」とコメントしている。
(ケアネット 鄭 優子)
関連記事

カナキヌマブ、重症COVID-19入院患者の生存を改善せず/JAMA
ジャーナル四天王(2021/07/30)

第63回 変な抗体や抗原によるCOVID-19重症化を止めうる薬を同定
バイオの火曜日(2021/06/08)

トシリズマブ、重症COVID-19肺炎患者の生存率改善/NEJM
医療一般(2021/05/13)
[ 最新ニュース ]

高血圧合併妊娠または妊娠高血圧症の妊婦、自己血圧測定は有用か?/JAMA(2022/05/20)

妊娠高血圧腎症の高リスク妊婦、自己血圧測定は有用か?/JAMA(2022/05/20)

米モデルナワクチン、乳幼児に対する緊急使用承認をFDAに申請(2022/05/20)

産後うつ病と母乳育児との関連~メタ解析(2022/05/20)

錠剤タイプの新型コロナワクチンに有望性(2022/05/20)

ED治療薬と硝酸薬を同時処方しても有害事象は増えない(2022/05/20)

脳画像検査で精神病やうつ病の悪化リスクを予測(2022/05/20)
[ あわせて読みたい ]
院長が倒れた!残された家族は書類探しに大わらわ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第23回(2021/08/06)
経営資料は秘密!? それは「身体を見ずに診察して」と同じですよ!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第22回(2021/07/26)
アクティブラーニングで英語習得!医療者限定のオンラインプログラム開講(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 膠原病(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(消化管)(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(肝胆膵)(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 感染症(2021/07/15)
「売れなければ閉じればいい…」、閉院にいくらかかるかご存じですか?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第21回(2021/07/12)
「うちの診療所引き継ぐ人いない?」、うっかり漏らして大惨事!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第20回(2021/06/28)
早めに動かないと売れ残る!「ヤバい診療所」のパターン2つ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第19回(2021/06/14)