胃、食道腺がん1次治療のニボルマブ+化学療法、全無作為化患者集団の成績(CheckMate 649)/ASCO2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/20

 

 ニボルマブ+化学療法(NIVO+Chemo)による胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの1次治療については、第III相CheckMate-649試験の結果が昨年の欧州臨床腫瘍学会年次総会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表され、PD-L1 CPS≧5患者における無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が統計学的に有意に延長することが報告された。この結果に基づき、1次治療として米国FDAの承認を取得した。今回の米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)では、ドイツ・Johannes-Gutenberg大学のMarkus Moehler氏が、全無作為化患者における有効性と安全性に関する解析結果を発表。OSの統計学的に有意な延長を認めたと報告した。

CheckMate-649試験の全無作為化患者のOSとPFSを評価

・対象:未治療のHER2陰性進行または転移を有する胃/胃食道接合部/食道腺がん、PS 0~1
・試験群:NIVO+Chemo(NIVO 360mg+XELOX[3週ごと]、またはNIVO 240mg+FOLFOX[2週ごと])789例
・対照群:上記の化学療法単独のいずれか(Chemo群)792例
・評価項目:
[主要評価項目]PD-L1 CPS≧5患者のPFSとOS
[副次評価項目]PD-L1 CPS≧1、≧10、ならびに全無作為化患者のOSとPFS、全奏効率(ORR)
[探索的評価項目]安全性、QOL

 CheckMate-649試験の全無作為化患者における有効性と安全性に関する主な結果は以下のとおり。

・CheckMate-649試験の全無作為化患者(データカットオフ日2020年5月27日、最短追跡期間12.1ヵ月)のOS中央値は、NIVO+Chemo群13.8ヵ月、Chemo群11.6ヵ月であり、NIVO+Chemo群で有意なOSの延長を認めた(HR:0.80、99.3%CI:0.68~0.94、p=0.0002)。
・12ヵ月OS率は、NIVO+Chemo群55%、Chemo群48%であった。
・CheckMate-649試験の全無作為化患者のPFS中央値は、NIVO+Chemo群7.7ヵ月、Chemo群6.9ヵ月であり、NIVO+Chemo群で臨床的に意義のあるPFSの延長を認めた(HR:0.77、95%CI:0.68~0.87)。
・12ヵ月PFS率は、NIVO+Chemo群33%、Chemo群23%であった。
・事前に規定したすべてのサブグループの解析において、一貫してOSはNIVO+Chemo群が良好であった。
・NIVO+Chemo群における免疫関連のGrade3/4治療関連有害事象(TRAE)は、すべての器官別で5%以下であり、非内分泌系の事象のほとんどは管理アルゴリズムにより回復した(回復までの期間中央値2~23週間)。
・症状悪化までの期間中央値は、NIVO+Chemo群が未到達、Chemo群が21.0ヵ月であり、NIVO+Chemo群であった(HR:0.77、95%CI:0.63~0.95、p=0.0129)。

 Moehler氏は、「データはHER2陰性の進行胃/胃食道接合部/食道腺がん患者の新たな標準1次治療として、NIVO+Chemoを支持するものであった」とまとめている。

(ケアネット)

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