胃、食道胃接合部、食道腺がん1次治療におけるニボルマブ+化学療法の成績(CheckMate-649試験)/ESMO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/15

 

 ドイツ・Johannes-Gutenberg大学のMarkus Moehler氏は、HER2陰性の未治療の転移を有する胃、食道胃接合部、食道腺がん患者を対象としたニボルマブ・化学療法併用(NIVO+Chemo群)、ニボルマブ+イピリムマブ併用(NIVO+IPI群)と、化学療法(Chemo群)を比較した無作為化非盲検第III相CheckMate-649試験での、ニボルマブ併用群と化学療法群との比較結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress2020)で発表。Combined positive score(CPS)5以上のPD-L1陽性患者では、ニボルマブと化学療法併用が化学療法単独と比較して、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の統計学的に有意な延長を認めたと報告した。

CheckMate-649試験でニボルマブと化学療法の併用療法が優越性を示す

・対象:未治療のHER2陰性の進行あるいは転移を有する胃、食道胃接合部、食道腺がん患者(PS 0~1)
・試験薬群:ニボルマブ+化学療法(XELOX 3週ごとまたはFOLFOX 2週ごと)(NIVO+Chemo群、789例)
・対照群:上記の化学療法のいずれか(Chemo群、792例)
・評価項目:
[主要評価項目]CPS≧5患者のPFS、OS
[副次評価項目]CPS≧1、CPS≧10、全患者のOS、PFS、全奏効率(ORR)

 CheckMate-649試験の主な結果は以下のとおり。

・CheckMate-649試験の主要評価項目であるCPS≧5のOS中央値は、NIVO+Chemo群14.4ヵ月、Chemo群が11.1ヵ月で、NIVO+Chemo群で有意な延長を認めた(HR:0.71、98.4%CI:0.59~0.86、p<0.0001)。
・CPS≧1以上のOS中央値は、NIVO+Chemo群が14.0ヵ月、Chemo群が11.3ヵ月で、NIVO+Chemo群で有意な延長を認めた(HR:0.77、99.3%CI:0.64~0.92、p=0.0001)。
・全患者のOS中央値は、NIVO+Chemo群が13.8ヵ月、Chemo群が11.6ヵ月で、NIVO+Chemo群で有意な延長を認めた(HR:0.80、99.3%CI:0.68~0.94、p=0.0002)。
・CPS≧5のPFS中央値は、NIVO+Chemo群が7.7ヵ月、Chemo群が6.0ヵ月で、NIVO+Chemo群で有意な延長を認めた(HR:0.68、98%CI:0.56~0.81、p<0.0001)。
・CPS≧1のPFS中央値は、NIVO+Chemo群が7.5ヵ月、Chemo群が6.9ヵ月であった(HR:0.74、95%CI:0.65~0.85)。
・全患者のPFS中央値は、NIVO+Chemo群が7.7ヵ月、Chemo群が6.9ヵ月であった(HR:0.77、95%CI:0.68~0.87)。
・CPS≧5以上のORRはNIVO+Chemo群が60%、Chemo群が45%であった(p<0.0001)。
・奏効持続期間(DOR)中央値はNIVO+Chemo群が9.5ヵ月、Chemo群が7.0ヵ月であった。
・奏効到達期間(TTR)は両群とも1.5ヵ月であった。

 Moehler氏はニボルマブと化学療法の併用療法は、これらの患者で初めてOS、PFSで優越性を示せた治療であり、1次治療の新たな標準治療としての可能性を示している」と主張した。

(ケアネット)

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