統合失調症における血清脂質と自殺リスク~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/11

 

 統合失調症スペクトラム障害患者における血清脂質と自殺リスクとの関連を明らかにするため、オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のAnoop Sankaranarayanan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年4月9日号の報告。

 2020年9月2日までに公表された成人の統合失調症スペクトラム障害患者(18~65歳)における血清脂質と自殺リスクとの関連を調査した研究を、複数のデータベースよりシステマティックに検索した。定性分析には、米国国立衛生研究所(NIH)スケールを用いた。標準平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)は、各研究で算出し、相対的に標準化した。調整されたp値、Z検定、不均一性を算出し、出版バイアスのテストも行った。

 主な結果は以下のとおり。

・抽出された1,262件中17件(3,113例)がシステマティックレビューに含まれ、そのうち11件をメタ解析に含めた。
・大部分の研究(11件)は、定性分析で公正と評価された。
・7件の研究データ(1,597例)より、総コレステロールの低さと自殺企図との関連が認められた(エフェクトサイズ:中程度、SMD:-0.560、95%CI:-0.949~-0.170、p=0.005)。
・自殺企図の既往歴のある患者の平均コレステロール値は、自殺企図のない患者と比較し、0.56SD低かった。
・自殺企図の定義に違いがあり、異質性が高かった(I2=83.3%)。
・血清脂質パラメータと自殺念慮との間に、有意な関連は認められなかった。
・ファンネルプロット分析では、出版バイアスに伴う小さな影響が認められた。

 著者らは「統合失調症スペクトラム障害患者における自殺企図は、平均総コレステロール値の低下と関連している」としている。

(鷹野 敦夫)