閉経後HR+早期乳がんへの術後内分泌療法、アロマターゼ阻害薬3剤の長期転帰を比較

提供元:ケアネット

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公開日:2026/02/10

 

 第3世代アロマターゼ阻害薬であるアナストロゾール、レトロゾール、およびエキセメスタンは、閉経後ホルモン受容体陽性(HR+)早期乳がんに対する標準的な術後内分泌療法であるが、臨床における有効性を比較したデータはほとんどない。フランス・パリ・シテ大学のElise Dumas氏らは、約15万例を対象とした比較効果試験を実施し、エキセメスタンによる術後内分泌療法は、アナストロゾールおよびレトロゾールと比較して、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)がわずかに低くなる可能性があると明らかにした。JAMA Network Open誌2025年12月26日号に掲載の報告。

 本試験は、フランスの医療行政データを用いてtarget trial emulationの手法により実施された。患者コホートは、フランス早期乳がんコホート(French Early Breast Cancer Cohort)から抽出され、2011年1月1日~2020年12月31日に早期乳がんと診断され、2021年12月31日まで追跡された50~75歳の女性で構成された。全例が卵巣機能抑制を併用せずに術後アロマターゼ阻害薬を開始した。データ解析は2024年11月~2025年5月に行われた。対象者はアロマターゼ阻害薬の自然継続(natural persistence)状況下および5年間の継続を保証する仮想的な完全継続(perfect persistence)状況下について評価された。主要評価項目はDFSとOSで、いずれも調整カプランマイヤー曲線を用いて推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析に含まれた14万8,436例(年齢中央値64歳)のうち、38.5%がアナストロゾール、52.9%がレトロゾール、8.5%がエキセメスタンを開始していた。
・追跡期間中央値63ヵ月時点で、自然継続状況下における8年DFS率は、エキセメスタン群(79.1%、95%信頼区間[CI]:78.1~80.0%)で、アナストロゾール群(81.0%、95%CI:80.6~81.5%)およびレトロゾール群(81.1%、95%CI:80.7~81.5%)と比較して低くなることが推定された。
・同様に8年OS率は、エキセメスタン群88.8%(95%CI:88.0~89.6%)、アナストロゾール群90.5%(95%CI:90.2~90.8%)、レトロゾール群89.9%(95%CI:89.6~90.2%)であった。
・エキセメスタンを開始した患者は、ほかの2剤を開始した患者と比較して、治療開始5年以内に治療を中止する可能性が高かった(エキセメスタン群39.3%[95%CI:38.3~40.3%]vs.アナストロゾール群35.1%[95%CI:34.7~35.6%]およびレトロゾール群35.0%[95%CI:34.6~35.4%])。
・レトロゾール群およびアナストロゾール群と比較しエキセメスタン群でDFSおよびOSが低くなる傾向は、完全継続状況下においても観察された。

 著者らは、「差はわずかではあるが、アロマターゼ阻害薬が広く使用されていることを鑑みればこれらの治療間の差は臨床的に意義がある」とし、「今回の結果は初期治療としてのレトロゾールおよびアナストロゾールの使用を支持するもの」と結論付けた。そのうえで、近年はCDK4/6阻害薬や卵巣機能抑制との併用が行われていることから、新たな治療レジメンを含む、アロマターゼ阻害薬の選択に関する研究が必要としている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)