片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性と安全性~メタ解析

片頭痛に対して、いくつかの抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体が承認されているが、どの抗CGRPモノクローナル抗体が最適なのかについては、よくわかっていない。中国・四川大学のXing Wang氏らは、片頭痛成人患者に対するCGRPまたはCGRP受容体に作用する各モノクローナル抗体の有効性および安全性を比較するため、ランダム化比較試験のネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2021年3月25日号の報告。
MEDILNE、Embase、ClinicalTrials.gov、Cochrane Libraryより、2020年10月30日までに公表された文献をシステマティックに検索した。片頭痛成人患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体を評価するため臨床的アウトカムを報告したランダム化比較試験をメタ解析に含めた。主要アウトカムは、毎月の片頭痛日数(MMD)の変化および治療に起因する有害事象(TEAE)の発生とした。
主な結果は以下のとおり。
・2,070件の文献より、最終的に18件(8,926例)のランダム化比較試験を抽出した。
・有効性に関しては、以下のとおりであり、プラセボと比較しMMDの有意な減少が認められた。
●fremanezumab(MD:-2.19、95%CrI:-3.15~-1.25)
●ガルカネズマブ(MD:-2.10、95%CrI:-2.76~-1.45)
●erenumab(MD:-1.61、95%CrI:-2.40~-0.84)
●eptinezumab(MD:-1.43、95%CrI:-2.59~-0.36)
・安全性に関しては、ガルカネズマブのみが、プラセボと比較し、TEAE(RR:1.11、95%CrI:1.01~1.22)および重篤な有害事象(RR:2.95、95%CrI:1.41~6.87)の発生率が高かった。
著者らは「片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体は、プラセボと比較し、優れていることが示唆された。今後、さまざまなタイプのCGRPモノクローナル抗体の直接的な研究を通じて、検証されることが望まれる」としている。
(鷹野 敦夫)
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