COVID-19の第3の治療薬、バリシチニブ承認/日本イーライリリーおよびインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/27

 

 2021年4月23日、日本イーライリリー株式会社とインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社は、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤バリシチニブ(商品名:オルミエント)がSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)に対する治療薬として、適応追加の承認を取得したと発表した。

 現在、バリシチニブは関節リウマチ、アトピー性皮膚炎の治療薬として承認されている。今回の適応追加では、通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブ4mgを1日1回経口投与し、総投与期間は14日間まで。本剤は、酸素吸入、人工呼吸管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うことで承認された。

 バリシチニブのSARS-CoV-2による肺炎に対する有効性および安全性は、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)主導による、SARS-CoV-2による肺炎の成人入院患者1,033例を対象とした国際共同第III相臨床試験「ACTT-2試験」で確認されている。「ACTT-2試験」は、レムデシビル併用下におけるプラセボ対照二重盲検比較試験で、レムデシビル単独療法と比較し、本剤投与群では、回復までの期間を短縮するという主要評価項目を達成した。また、投与開始から15日時点の患者の転帰を完全な回復から死亡までを8段階で評価するスケールを用いて比較した主要な副次的評価項目もそれぞれ達成した。

バリシチニブの概要(下線部分が今回の追加箇所)
商品名:オルミエント錠(4mg/2mg)
一般名:バリシチニブ
効能または効果:
既存治療で効果不十分な下記疾患
 関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)/アトピー性皮膚炎
 SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)
用法および用量:
<関節リウマチ、アトピー性皮膚炎>
通常、成人にはバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること。
<SARS-CoV-2による肺炎>
通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、総投与期間は14日間までとする。

薬価:オルミエント錠4mg 5,274.90円/2mg 2,705.90円(2021年4月時点)
製造販売元:日本イーライリリー株式会社

(ケアネット 稲川 進)