新型コロナワクチンを拒む一般人の割合と特徴-米国の場合

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/08

 

 米国では2月8日の時点で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン5,930万回分が配布され、少なくとも3,160万人が1回目のワクチン接種を行った。ワクチン開始前に実施された全米世論調査では、多くの人が新型コロナワクチンの接種をためらっていたが、2020年9月から12月にかけて、ワクチンを接種したいと回答した割合は、全体的に39.4%から49.1%に増加し、接種する「可能性が低い」と回答した割合は38.1%から32.1%に減少していたことが明らかになった。米国疾病予防管理センター(CDC)が2021年2月12日に発表した。

 CDCは新型コロナワクチンに対する認識と接種意思を調査する目的で、2020年9月と12月に18歳以上の米国人を代表する3,541人に対し確率に基づくサンプル(Ipsos KnowledgePanel)を用いてインターネットパネル調査を実施し、18~64歳(基礎疾患あり/なし)、65歳以上、エッセンシャルワーカー従事に分類した。“もし、新型コロナワクチンを今日無料で接種できるとしたら、接種する可能性はどのくらいありますか?”との質問内容に対し、回答選択肢を「必ず受ける/受ける可能性が非常に高い」「可能性がやや高い」「可能性が低い」と定めた。接種の可能性について“必ず”または“非常に高い”という回答は意思があるとし、“可能性が低い”という回答は意思がないとした。

 主な結果は以下のとおり。

・「必ず受ける/受ける可能性が非常に高い」の回答は、エッセンシャルワーカーで8.8ポイント(37.1%→45.9%)、65歳以上で17.1ポイント(49.1%→66.2%)、基礎疾患**を有する18~64歳で5.3ポイント(36.5%→41.8%)と、9月から12月にかけて増加した。
・「可能性が低い」との回答は、エッセンシャルワーカーで4.8ポイント(40.2%→35.8%)、65歳以上で11.1ポイント(29.8%→18.7%)、基礎疾患を有する18~64歳で2.1ポイント(40.4%→38.3%)減少した。
・また、基礎疾患を持たずエッセンシャルワーカーではない18~64歳の場合、「必ず受ける/受ける可能性が非常に高い」の回答は9.5ポイント(38.0%→48.7%)増加し、「可能性が低い」との回答は7.6ポイント(39.8%→32.2%)減少した。
・若年成人、女性、非ヒスパニック系黒人、居住区域が首都圏外、低学歴、低収入世帯(年収:3万5,000〜4万9,999ドル)、健康保険未加入の層がワクチンを接種する「可能性が低い」と最も多く回答していた。
*:エッセンシャルワーカー:医療者ほかインフラ整備に必要不可欠な建設作業員など
**:慢性腎臓病、心不全、COPDなどを有する者

 研究者らは「新型コロナの罹患率と死亡率のリスクが高い集団の健康を保護し、健康の不平等を減らすためにもワクチン接種は重要である。国民の信頼をさらに高める戦略を実施するため、追加の取り組みが必要」としている。

(ケアネット 土井 舞子)