治療抵抗性うつ病患者の平均余命調査

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/21

 

 うつ病は、死亡率の増加と関連しているが、治療抵抗性うつ病(TRD)の場合、平均余命にどの程度の影響があるかは不明である。デンマーク・オーフス大学のKathrine Bang Madsen氏らは、TRD患者の原因別超過死亡率および損失生存年数(Life Years Lost:LYL)の推定を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月10日号の報告。

 デンマーク国立処方箋レジストリより抽出した、2005~12年に初めて抗うつ薬を処方されたデンマーク生まれの18~69歳を対象とした。TRDの定義は、2年以内の2種類以上の異なる抗うつ薬の使用とした。死亡率の比(Mortality rate ratio:MRR)の推定には、初回処方時の年齢、暦年、併存疾患で調整した後、Cox回帰を用いた。平均余命の違いは、LYL法により推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・初めて抗うつ薬治療を受けたうつ病患者15万4,513例のうち、8,294例(5.4%)がTRDであった。
・103万2,245人年のフォローアップ期間中に、9,795例が死亡した。
・TRDの男性(aMRR:1.34、95%CI:1.18~1.52)および女性(aMRR:1.39、95%CI:1.19~1.63)は、非TRD患者と比較し、死亡率が有意に高かった。
・TRDの男性(1.21年、95%CI:0.36~2.44)および女性(1.24年、95%CI:0.35~2.34)は、すべてのうつ病患者よりも、平均余命が短かった。
・過剰なLYLの大部分を自殺が占めており、TRDの男性では1.10年(95%CI:0.46~1.61)、女性では0.82年(95%CI:0.44~1.27)であった。
・本研究の限界として、処方箋ベースでTRDを定義しているため、誤分類リスクが高まる可能性がある。

 著者らは「いくつかの治療に対し適切な反応がみられないTRD患者では、早期死亡(とくに自殺)リスクが高まることが示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)