小児のドラベ症候群、zorevunersenが有望/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/03/17

 

 ドラベ(Dravet)症候群は、主にSCN1A遺伝子のハプロ不全によって引き起こされる重篤な発育性てんかん性脳症であり、てんかんを有する一般集団と比較して、てんかんによる予期せぬ突然死および認知機能障害のリスクが高いとされる。米国・Northwestern University Feinberg School of MedicineのLinda Laux氏らは、2つの臨床試験(MONARCH試験およびADMIRAL試験)と、その延長試験(SWALLOWTAIL試験およびLONGWING試験)において、zorevunersenの投与により、痙攣発作の頻度が大幅に低下し、有害事象の多くは軽度または中等度であったことを示した。zorevunersenは、ドラベ症候群の基盤となるチャネル病(channelopathy)を標的とし、NaV 1.1ナトリウムチャネルの発現を亢進するようデザインされたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。研究の成果は、NEJM誌2026年3月5日号に掲載された。

米国と英国の非盲検第I/IIa相試験+延長試験

 MONARCH試験およびADMIRAL試験は、それぞれ米国および英国で実施した多施設共同非盲検第I/IIa相試験(Stoke Therapeuticsの助成を受けた)。MONARCH試験は2~18歳、ADMIRAL試験は2~<18歳のドラベ症候群で、標準的な抗痙攣薬による治療を受けている患者を対象とした。

 MONARCH試験は、単回投与の用量漸増コホート(5つの用量[10、20、30、45、70 mg]のzorevunersenを1日目に髄腔内投与)および複数回投与の用量漸増コホート(3つの用量[20、30、45mg]のzorevunersenを1、29、57日目に髄腔内投与)から成る。ADMIRAL試験は、複数回投与の用量漸増コホート(3つの用量[30、45、70mg]のzorevunersenを1、57、85日目に髄腔内投与)を擁する。

 これらの試験を完了し、適格基準を満たした患者を、それぞれの非盲検延長試験であるSWALLOWTAIL試験およびLONGWING試験に登録し、4ヵ月ごとにzorevunersen(≦45mg)の投与を継続した。

 主解析では、zorevunersenの安全性と薬物動態を評価し、臨床効果の評価も行った。

腰椎穿刺後症候群が25%に発現

 2つの第I/IIa相試験に合計81例(平均年齢9.9[±5.1]歳、女児40例[49%])を登録し、2025年5月30日現在、延長試験に合計75例(10.4[±5.0]歳、37例[49%])を登録した。第I/IIa相試験のベースラインにおいて、患者の81%が3種以上の抗痙攣薬の投与を受けていた。

 第I/IIa相試験の78例(96%)および延長試験の75例(100%)に有害事象が発現したが、ほとんどが軽度または中等度であった。第I/IIa相試験で最も頻度の高かった有害事象は腰椎穿刺後症候群(25%)であり、延長試験では脳脊髄液(CSF)中タンパク質濃度上昇(45%)の頻度が最も高かった。

 予期せぬ重篤な有害反応が疑われる患者が1例、試験中止に至った有害事象が1例、てんかんによる予期せぬ突然死が2例、栄養失調による死亡が1例に認められた。

 複数回投与の用量漸増コホートでは、最終投与後3ヵ月時のCSF中zorevunersen濃度が、初回または2回目投与後1ヵ月時よりも高値を示した。この所見は、月1回または2ヵ月ごとの投与で、CSF中へのzorevunersenの蓄積が生じることを示唆する。

延長試験で、臨床状態、生活の質、適応行動も改善

 第I/IIa相試験でzorevunersen 70mgを投与され、その後延長試験で最大45mgの投与を受けた患者では、延長試験開始後20ヵ月間における、1ヵ月ごとの痙攣発作の頻度のベースラインからの変化量中央値は、-58.82%から-90.91%の範囲にあり、どの時点でも大幅に低下していた。

 延長試験における最長36ヵ月間の継続治療では、全般的な臨床状態、生活の質、適応行動の改善が、データによって裏付けられた。

 著者は、「患児の介護者は、新しい治療法では発作以外の症状の緩和が重要と指摘しており、zorevunersenによる全般的な臨床状態や適応行動の変化について、さらなる検討を進める必要がある」「本研究の良好な安全性プロファイルと初期の臨床的改善は、ドラベ症候群に対する疾患修飾治療薬として、zorevunersenの開発を続けることを支持するものである」としている。

 現在、zorevunersenの初回投与量70mg、継続投与量45mgによる第III相試験が進行中だという。

(医学ライター 菅野 守)