高リスク早期乳がんへの術後内分泌療法+アベマシクリブ、iDFS改善が継続(monarchE)/SABCS2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/11

 

 再発リスクの高いリンパ節転移陽性ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の早期乳がんに対し、術後内分泌療法へのアベマシクリブ追加の有効性を評価する第III相monarchE試験の追跡調査において、無浸潤疾患生存期間(iDFS)の改善が引き続き示され、Ki-67値20%以上の患者での有意な改善が示された。米国・ピッツバーグ大学のPriya Rastog氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。

 monarchE試験は中間解析(追跡期間中央値15.5ヵ月)でアベマシクリブ追加によるiDFSの有意な改善(p=0.0096、ハザード比[HR]:0.747、95%信頼区間[CI]:0.598~0.932)が報告されている。今回、iDFSの約390イベント発生後に計画されていた解析の結果が報告された。

・対象:再発リスクの高いHR+/HER2-の早期乳がん(リンパ節転移4個以上、リンパ節転移1~3個の場合はKi-67値20%以上・グレード3・腫瘍径5cm以上のいずれか)、術前/術後の化学療法は許容
・試験群:術後療法として、標準的内分泌療法+アベマシクリブ150mg×2/日投与。アベマシクリブは最長2年間投与(ET+アベマシクリブ群:2,808例)
・対照群:術後療法として、標準的な内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、LH-RHアゴニストなど。薬剤は主治医選択)を5年以上施行(ET群:2,829例)
・評価項目:
[主要評価項目]iDFS
[副次評価項目]遠隔無転移生存期間(DRFS)、全生存期間(OS)、安全性、患者報告アウトカム、薬物動態

 主な結果は以下のとおり。

・主要評価項目の解析における追跡期間中央値は両群で19ヵ月(中間分析+3.5ヵ月)であった。1,437例(25.5%)が2年間の治療期間を完了し、3,281例(58.2%)はまだ2年間の治療期間中だった。
・ITT集団において395例にiDFSイベントが観察され、ET+アベマシクリブ群はET群より優れたiDFSを示し、iDFSイベント発生リスクが28.7%減少した(p=0.0009、HR=0.713、95%CI:0.583~0.871)。2年iDFS率は、ET+アベマシクリブ群で92.3%、ET群で89.3%であった。事前に指定されたサブグループすべてにおいてET+アベマシクリブ群が優れていた。
・ITT集団で、中央測定機関評価のKi-67値が20%以上であった2,498例における有効性を評価したところ、ET+アベマシクリブ群(1,262例)では、ET群(1,236例)より優れたiDFSを示し、iDFSイベント発生リスクが30.9%減少した(p=0.0111、HR:0.691、95%CI:0.519~0.920)。2年iDFS率はそれぞれ91.6%、87.1%だった。
・ITT集団におけるDRFSについても、ET+アベマシクリブ群はET群より優れ、DRFSイベント発生リスクが31.3%減少した(p=0.0009、HR=0.687、95%CI:0.551~0.858)。2年DRFS率は、ET+アベマシクリブ群で93.8%、ET群で90.8%であった。
・安全性は、中間iDFS解析結果およびアベマシクリブの既知の安全性プロファイルと一致していた。有害事象による中止のほとんどが治療開始5ヵ月以内であった。
・現在OSは未到達であり、OSの最終解析まで試験は継続される。

(ケアネット 金沢 浩子)

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