研修医は総合診療科も研修したほうがいい

近年、医師の初期臨床研修において総合診療領域は重要視されている。実際、総合診療科(GM)を研修ローテートした研修医の臨床能力はどの程度向上するのだろう。順天堂大学医学教育研究室 西崎 祐史氏らは、全国の臨床研修施設で調査を行い、初期臨床研修医の基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)のスコアとGMローテートとの関連性を評価した。
本研究は、2016~18年にJAMEP基本的臨床能力評価試験を受験した初期研修医1万1,244人を対象とした多施設共同横断研究(参加した病院数は2016年381施設、2017年459施設、2018年503施設)である。
研究方法として、教育環境(病院情報を含む)とGM-ITE総合スコアとの関連をマルチレベル分析にて評価した。なお、GM-ITEは「医療面接/プロフェッショナリズム」「症候学/臨床推論」「身体診察/臨床手技」「疾病各論」の4つのカテゴリーで構成され、幅広い疾患領域(内科・外科・小児科・産婦人科・精神科など)が網羅されている。
総合診療科研修とGM-ITEスコアの間には正の相関がある
合計4,464人(39.7%)の研修医がGMローテートを経験した。GMローテートを経験した研修医のGM-ITE(60点満点)の平均スコア38.1(±標準偏差12.1)点は、GMローテートを経験しなかった研修医[36.8±11.7点(総合診療科があるがGMローテ―トなし)および36.5±11.5点(総合診療科がなくGMローテ―トなし)]よりも高得点を示した。座学時間や研修中の担当入院患者数などを調整したうえでも、GMローテート経験者の得点は、総合診療科のない施設でのGMローテ―ト未経験者に比べてGM-ITEスコアが平均1.18点(標準誤差0.30点、p=0.0001)高く推定された。以上から、GMローテートと研修医のGM-ITEスコアの間には正の相関を認めた。今後、初期研修医の基本的臨床能力向上のために、GMのローテートの必須化を検討する必要があるとしている。
(ケアネット 稲川 進)
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