食事のパターンや質と認知症との関連~メタ解析

食事は、神経変性疾患の発症や進行を予防または遅らせることができる、重要なライフスタイル要因である。すべてではないものの、最近報告されたいくつかの研究において、健康的な食事パターンの順守が認知症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のYi-Hsuan Liu氏らは、食事パターンと認知症リスクとの関連をシステマティックに調査し、メタ解析を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年9月11日号の報告。
1981年1月1日~2019年9月11日までのPubMed、Web of Science、Cumulative Index for Nursing and Allied Healthのデータベースを用いて、英語で発表されたプロスペクティブ研究をシステマティックに検索した。プールされたリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)は、変量効果モデルを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・特定された16研究のうち、12研究(6万6,930例)をメタ解析に含めた。
・質の高い食事や健康的な食事パターンの順守は、質の低い食事または健康的でない食事パターンと比較し、認知症リスクの有意な低下が認められた。
●全体的な認知症リスク:プールされたRR:0.82、95%CI:0.70~0.95、12研究
●アルツハイマー病:プールされたRR:0.61、95%CI:0.47~0.79、6研究
・年齢、性別、フォローアップ期間、食事の質の評価方法、研究の実施場所、研究の質により層別化されたサブグループ解析でも、同様の結果が認められた。
著者らは「健康的な食事パターンの順守は、全体的な認知症リスクの低下と関連が認められた。認知症の発症や進行に対する健康的な食事の役割についてエビデンスを追加するためには、さらなるランダム化比較試験が必要である」としている。
(鷹野 敦夫)
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