ロコモに新しくロコモ度3を設定/日本整形外科学会

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/15

 

 日本整形外科学会(理事長:松本 守雄氏[慶應義塾大学医学部整形外科学教室 教授])は、ロコモティブシンドローム(ロコモ)の段階を判定するための臨床判断値に新たに「ロコモ度3」を設定したことを公表し、記者説明会を開催した。

要介護の原因となるロコモティブシンドローム

 「ロコモティブシンドローム」とは運動器の障害のため、移動機能が低下した状態を指す。運動器の障害は高齢者が要介護になる原因の1位であり、40代以上の日本人の4,590万人が該当するという。ロコモが重症化すると要介護状態となるが、その過程で運動器が原因の「身体的フレイル」を経ることがわかり、「身体的フレイル」に相当するロコモのレベルを知り、対策をとることが重要となっている。

 整形外科学会では全年代におけるロコモ判定を目的として2013年に「ロコモ度テスト」を発表、2015年にロコモ度テストに「ロコモ度1」「ロコモ度2」からなる「臨床判断値」を制定した。その後、ロコモがどの程度進行すれば投薬や手術などの医療が必要となり、医療によってロコモがどのように改善するかの検証を行ってきた。そして、ロコモとフレイルの関係性を研究した成果をもとに、新しい臨床判断値として今回「ロコモ度3」を制定した。

ロコモ度3では社会参加に支障を来す

 松本氏は、現在の運動器障害の疫学として、ロコモ度1以上の人は4,590万人、ロコモ度2の人は1,380万人、運動器疾患が原因の要介護者は152万人が推定されると説明した。また、現在ロコモ度1と判定されれば運動の習慣付けと食事療法が、ロコモ度2と判定されれば整形外科医受診の勧奨がなされる。

 今回設定された「ロコモ度3」は、移動機能の低下が進行し、社会参加に支障を来している段階。その判定として、「立ち上がりテスト」では両脚で30cmの台から立つことができない、「2ステップテスト」の値は0.9未満、「ロコモ25」の得点は24点以上とされ、年齢に関わらずこれら3項目のうち、1つでも該当する場合を「ロコモ度3」と判定する。「ロコモ度3」では、自立した生活ができなくなるリスクが非常に高く、何らかの運動器疾患の治療が必要になっている可能性があるので、整形外科専門医による診療を勧めるとしている。

 今回の設定の背景として、腰部脊柱管狭窄症や変形性関節症に対する手術を受けた患者の多くが術前にはロコモ度3に該当し、術後には多くがこの基準により改善すること、機能的にみて運動器が原因の身体的フレイルの基準に相当すること、運動器不安定症のレベルに近いことなどが挙げられるという。

 松本氏は「ロコモの医療対策の根拠や高齢者検診から医療への橋渡しが期待される」と展望を語り、説明会を終えた。

(ケアネット 稲川 進)

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