MMP-9と統合失調症患者の認知機能との関連

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/03/10

 

 マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)は、シナプス可塑性を調節することが示唆されており、統合失調症の病態生理に影響を及ぼす可能性がある。国立精神・神経医療研究センターの工藤 紀子氏らは、統合失調症患者におけるMMP-9の末梢血中レベルおよびその認知機能との関連、統合失調症の病態生理、とくに認知機能低下におけるMMP-9の関与について調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月5日号の報告。

MMP-9レベルの増加と認知機能障害との関連が示された

 統合失調症患者(抗精神病薬が投与されていない患者を含む)249例および健常対照者257例を対象に、血漿MMP-9レベルを測定した。統合失調症患者と健常対照者における血漿MMP-9レベルと認知機能との関連を調査するため、ウェクスラー成人知能検査第3版(WAIS-III)、ウェクスラー記憶検査(WMS-R)、レイ聴覚性言語学習テスト(AVLT)を用いた。

 MMP-9と認知機能との関連を調査した主な結果は以下のとおり。

・統合失調症患者(抗精神病薬が投与されていない患者を含む)の血漿MMP-9レベルは、健常対照者と比較し有意に高かった。
・健常対照者および統合失調症患者における血漿MMP-9レベルと認知機能との間に、有意な負の関連が認められた。

 著者らは「これらのデータは統合失調症で起こりうる生物学的メカニズムを示唆しており、MMP-9レベルの増加と認知機能障害との関連が示された」としている。

(鷹野 敦夫)