不安症状の有無による双極性障害の臨床的特徴と薬理学的治療

提供元:ケアネット

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公開日:2019/12/12

 

 双極性障害(BD)患者の半数以上において、不安症状の併存が報告されている。一部では、不安症状は気分エピソード前の最も初期に発現する精神症状だといわれている。イタリア・ミラノ大学のCesare Galimberti氏らは、BD外来患者における最初の精神症状としての不安症状の有病率、未治療期間との関連、治療について検討を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2019年11月15日号の報告。

 対象は、ミラノのうつ病治療センターに紹介され、DSM-IVで双極性I型障害(BD-I)、双極性II型障害(BD-II)、特定不能な双極性障害(BD-NOS)、気分循環性障害と診断された患者。レトロスペクティブチャートレビュー、直接的な患者インタビューにより、いくつかの臨床的特徴を評価した。BD発症時の不安症状の有無に基づき層別化を行い、両群間およびBDサブタイプ間で臨床的特徴の比較を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・分析対象患者数は260例(BD-I:77例、BD-II:122例、BD-NOS:45例、気分循環性障害:16例)であった。
・最初の精神症状として不安症状が認められた患者は、69例(26.5%)であった。
・BD-IIおよびBD-NOSでは、BD発症時に不安症状がより頻繁に認められた。最も一般的な不安症状はパニック症であった。
・不安症状が認められた患者は、BD発症年齢が若く、未治療期間がより長かった。また、BD発症時に、気分安定薬、抗精神病薬の使用頻度が少なかった。

 著者らは「BDの縦断的な経過を考慮すると、BD発症時に不安症状を有する患者の4分の1以上は、適切な治療を受けるのが遅く、BD発症時に気分エピソードを有する患者と比較し、その後の長期にわたる未治療期間が長く、予後が不良であった」としている。

(鷹野 敦夫)