低リスク患者へのTAVR vs.SAVR、5年フォローアップの結果【Dr.河田pick up】

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 NOTION(Nordic Aortic Valve Intervention:北欧大動脈弁インターベンション)trialは、70歳以上で孤立性の重症大動脈弁狭窄を持つ患者を対象に経皮カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)を比較する目的で行われた試験である。このたび、5年間のフォローアップ後における臨床経過および心エコーの結果が示された。Hans Thyregod氏らの研究グループがCirculation誌6月号に発表(オンライン発表は2月)。

北欧3施設の低リスク患者をTAVR:SAVRに無作為化
 患者は北欧の3つの施設からリクルートされ、自己拡張型コアバルブ人工弁(145例)もしくは外科的ステント付き生体弁の植込み(135例)に、1:1の割合で無作為に割り付けられた。1次複合エンドポイントは、1年目における、Valve Academic Research Consortium-2(VARC-2)基準に基づく全死亡率、脳卒中および心筋梗塞。

TAVR:圧較差は低いものの、中等度以上の大動脈弁閉鎖不全が多い
 2群間のベースラインにおける患者の特徴は似ていた。平均年齢は79.1±4.8歳で平均のSociety of Thoracic Surgery-Predicted Risk Of Mortality(STS-PROM)スコアは3.0%±1.7%であった。5年後において、TAVRとSAVRで複合アウトカムやその要素において有意差は認められなかった(カプランマイヤー推定:38.0% vs.36.3%、ログランク検定のp=0.86)。TAVR群は、人工弁の面積が大きく(同:1.7 cm2 vs.1.2cm2、p<0.001)、生体弁の圧較差の平均値も低く(同:8.2mmHg vs.13.7mmHg、p<0.001)、それらの値はフォローアップ中で変化がなかった。ただし、TAVR群は中等度もしくは重症の大動脈弁閉鎖不全を来す頻度が高く(同:8.2% vs.0.0%、p<0.001)、新たにペースメーカーが植込まれる頻度が高かった(同:43.7% vs.8.7%、p<0.001)。また、全症例中4例において、人工弁の不具合による再手術が必要となった。

 今回は、低リスク患者におけるTAVRとSAVRの比較で最も長くフォローアップしたスタディーで、自己拡張型生体弁を用いたTAVRとSAVR後における主要な臨床アウトカムにおいては、統計学的な有意差が認められなかった。ただし、生体弁植込み後の弁逆流とペースメーカーの植込みがTAVR群で顕著に認められた。

TAVR:低侵襲だが、ペースメーカーの植込みが必要となる可能性がある
 SAVRと比べて低侵襲であるTAVRの適用は、より低リスクな患者や比較的若い患者に広がりつつある。しかしながら、TAVR後の中等度以上の弁逆流の発生やペースメーカー植え込みの頻度は高い。これまでの研究でも、30日以内の急性期のマルチセンタースタディーで20%の患者にペースメーカーが植込まれている。この研究では、ペースメーカーの植込みが必要となる可能性が高いと言われる自己拡張型大動脈弁を使用しており、ペースメーカーの植込み頻度は40%と高い。実際には症例に応じて、房室ブロックを起こしにくいバルーン拡張型と自己拡張型を使い分けられているため、頻度はもう少し低いと考えられる。TAVRかSAVRどちらが良いかは患者の年齢、併存疾患、希望を考慮した上で慎重に術式を決めるべきと考える。

Clinical Trial Registration:
URL: https://clinicaltrials.gov. Unique identifier: NCT01057173.

(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)

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