メマンチン補助療法の精神疾患に対する有効性をメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2019/06/28

 

 N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬であるメマンチンは、アルツハイマー型認知症に限らず、統合失調症、双極性障害、うつ病を含む主な精神疾患の治療に用いられることがある。中国・広州医科大学のWei Zheng氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病に対するメマンチン補助療法の有効性および忍容性に関するメタ解析を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年6月1日号の報告。

メマンチン補助療法は統合失調症の陰性症状改善に有意な効果

 対象とした研究には、ランダム化比較試験(RCT)のみを選択した。各疾患のデータは、RevMan 5.3を用いて、それぞれ合成した。

 主な結果は以下のとおり。

・メマンチン(5~20mg/日)補助療法に関して検討した15件のRCT(988例)を分析した。内訳は、統合失調症512例(9 RCT)、双極性障害319例(3 RCT)、うつ病157例(3 RCT)であった。
・統合失調症に対するメマンチン補助療法は、総合精神病理学的症状(標準化平均差[SMD]:-0.56、95%信頼区間[CI]:-1.01~-0.11、I2:76%、p=0.01)および陰性症状(SMD:-0.71、95%CI:-1.09~-0.33、I2:74%、p=0.0003)に関して対照群よりも優れていた。しかし、統合失調症の陽性症状および一般精神病理学的症状、双極性障害のうつ症状や躁症状、うつ病のうつ症状に関して有意な効果は認められなかった。
・メマンチン補助療法は、統合失調症の認知機能改善に関して対照群よりも優れていた(SMD:1.07、95%CI:0.53~1.61、I2:29%、p<0.0001)。
・各疾患における何らかの原因による薬剤性有害事象および中止率に関して、群間差は認められなかった。

 著者らは「メマンチン補助療法は、統合失調症の陰性症状改善に有意な効果を示すと考えられる。双極性障害やうつ病に対するメマンチン補助療法の有効性および安全性については、さらなる検討が必要である」としている。

(鷹野 敦夫)