統合失調症の再入院に対する個別作業療法の効果~2年間のプロスペクティブコホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2019/06/07

 

 信州大学の島田 岳氏らは、統合失調症患者の再入院に対する個別作業療法(IOT)の効果を、集団作業療法(GOT)との比較により検討した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年5月11日号の報告。

 精神科病院から1年以内に退院した統合失調症患者を対象とし、プロスペクティブコホート研究を実施した。GOT+IOT群およびGOT単独群における再入院までの期間は、カプランマイヤー分析を用いて評価した。再入院に関連する人口統計学的および臨床学的因子の影響は、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。

統合失調症患者の再入院リスク軽減に個別作業療法の併用が好影響
 統合失調症患者の再入院に対する個別作業療法の効果を評価した結果は以下のとおり。

・基準を満たしていた患者は、111例(GOT+IOT群:54例、GOT単独群:57例)であった。
・退院から2年間での再入院患者数は、全体で56例(51.376%)であった。その内訳は、GOT+IOT群で16例、GOT単独群で40例であり、GOT+IOT群の再入院率は、有意に低かった。
・再入院までの期間は、GOT単独群と比較し、GOT+IOT群で有意に長かった(p<0.001)。
・多変量Cox比例ハザードモデルで、再入院と有意な関連が認められた因子は、以下のとおりであった。
●作業療法のタイプ(HR:0.543)
●服薬アドヒアランス(HR:0.343)
●在宅支援者へのアクセス(HR:0.450)
●退院時の実行機能(HR:0.740)

 著者らは「統合失調症患者の再入院リスクの軽減には、退院時の良好な認知機能や服薬アドヒアランスに加えて、集団作業療法の単独療法と比較し、個別作業療法併用の長期的な好影響が支持された」としている。

(鷹野 敦夫)