非代償性肝硬変を伴うC型肝炎に初の承認

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ケアネット

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 平成元年(1989年)に発見されたC型肝炎ウイルス(HCV)。近年、経口の直接作用型抗ウイルス薬(direct acting antivirals:DAA)が次々と発売され、C型慢性肝炎や初期の肝硬変(代償性肝硬変)の患者では高い治療効果を得られるようになったが、非代償性肝硬変を伴うHCV感染症に対する薬剤はなかった。そのような中、平成最後の今年、1月8日にエプクルーサ配合錠(一般名:ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠、以下エプクルーサ)が、「C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」に承認された。また、DAA治療失敗例に対する適応症(前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善)も取得した。ここでは、1月25日に都内で開催されたギリアド・サイエンシズ主催のメディアセミナーで、竹原 徹郎氏(大阪大学大学院医学系研究科内科学講座消化器内科学 教授)が講演した内容をお届けする。

予後の悪い非代償性肝硬変で初めて高い治癒率を実現
 HCV感染者は長い期間を経て、慢性肝炎から代償性肝硬変、非代償性肝硬変へと進行する。非代償性肝硬変患者の予後は悪く、海外データ(J Hepatol. 2006)では、2年生存率が代償性肝硬変患者では約90%であるのに対し、非代償性肝硬変患者では50%以下という。国内データ(厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書)でも、Child-Pugh分類A(代償性肝硬変)では3年生存率が93.5%に対して、非代償性肝硬変であるB、Cではそれぞれ71.0%、30.7%と低い。しかし、わが国では非代償性肝硬変に対して推奨される抗ウイルス治療はなかった(C型肝炎治療ガイドラインより)。

 このような状況のもと、非代償性肝硬変に対する治療薬として、わが国で初めてエプクルーサが承認された。

 非代償性肝硬変患者に対する承認は、エプクルーサ単独とリバビリン併用(ともに12週間投与)を比較した国内第 3 相臨床試験(GS-US-342-4019)の結果に基づく。竹原氏は、「海外試験ではリバビリン併用が最も良好なSVR12(治療終了後12週時点の持続性ウイルス学的著効率)を達成したが、この国内試験では両者のSVR12に差がみられなかったことから、有害事象の少なさを考慮して併用なしのレジメンが承認された」と解説した。

 本試験でエプクルーサ単独投与群には、年齢中央値67歳の51例が組み入れられ、うち24例はインターフェロンやリバビリン単独投与などの前治療歴を有する患者であった。主要評価項目であるSVR12は92.2%で、患者背景ごとのサブグループ解析でも高いSVR12が認められ、治療歴ありの患者で87.5%、65歳以上の患者でも96.6%であった。同氏は、「より進行した状態であるChild-Pugh分類Cの患者で若干達成率が低かったが、それでも約80%で治癒が確認されている」とその有効性を評価。有害事象は9例で認められ、主なものは発疹、皮膚および皮下組織障害、呼吸器・胸郭および縦郭障害(それぞれ2例で発現)であった。

他の薬剤で治癒が確認されていない特殊な薬剤耐性例でも効果
 一方、DAA治療失敗例に関しては、DAA既治療のジェノタイプ1型および2型患者を対象とした試験(GS-US-342-3921)において、リバビリン併用の24週間投与により96.7%のSVR12率を達成している。「DAA既治療失敗例は、複雑な耐性変異を有する場合が多いが、これらの患者さんでも95%以上の治癒が得られたのは非常に大きい。とくに他の薬剤で治癒が確認されていない特殊な薬剤耐性P32欠損についても、5例中4例で治癒が確認された」と同氏は話した。また有害事象に関しては、リバビリンに伴う貧血の発現が約20%でみられたが、「貧血が起こっても、薬剤の量を調整することで症状を抑えることが可能。貧血が原因で投与中止となった例はない」と話している。

 最後に同氏は、「非代償性肝硬変とDAA治療失敗例という、これまでのアンメットメディカルニーズを満たす治療薬が登場したことを、広くすべての医療従事者に知ってもらい、専門医と非専門医が連携して、治療に結び付けていってほしい」とまとめた。

(ケアネット 遊佐 なつみ/金沢 浩子)

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