2型DMの肝硬変、GLP-1受容体作動薬により死亡リスク減

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/18

 

 肝硬変は2型糖尿病と関連していることが多いものの、肝硬変患者を対象とした2型糖尿病治療に関する研究はほとんどない。今回、台湾・Dr. Yen's ClinicのFu-Shun Yen氏らは2型糖尿病の肝硬変患者を対象にGLP-1受容体作動薬による長期アウトカムを調査した。その結果、2型糖尿病の肝硬変(代償性)患者がGLP-1受容体作動薬を使用した場合、死亡、心血管イベント、非代償性肝硬変、肝性脳症、肝不全のリスクが有意に低くなることが示された。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年6月16日号掲載の報告。

 研究者らは台湾の国民健康保険研究データベースを用い、傾向スコアマッチング法により2008年1月1日~2019年12月31日のGLP-1受容体作動薬の使用者と未使用者467組を選定した。

 主な結果は以下のとおり。

・平均追跡期間は、GLP-1受容体作動薬の使用者で3.28年、未使用者で3.06年だった。
・それぞれの死亡率は、1,000人年当たり27.46例と55.90例だった。
・多変量解析の結果、GLP-1受容体作動薬の使用者は未使用者に比べ、死亡(調整ハザード比[aHR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.32~0.69)、心血管イベント(aHR:0.6、95%CI:0.41~0.87)、非代償性肝硬変(aHR:0.7、95%CI:0.49~0.99)、肝性脳症(aHR:0.59、95%CI:0.36~0.97)、肝不全(aHR:0.54、95%CI:0.34~0.85)のリスクが低いことが示された。
・GLP-1受容体作動薬の累積使用期間が長いほど、GLP-1受容体作動薬を使用しなかった場合よりもこれらのリスクが低くなった。

(ケアネット 土井 舞子)