軽度アルツハイマー病に対するコリンエステラーゼ阻害薬のベネフィット 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/01/29 アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI-AD)および軽度のアルツハイマー型認知症(ADdem)に対するコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)の認知機能アウトカムについて、米国・セントルイス・ワシントン大学のJee-Young Han氏らが検討を行った。Alzheimer Disease and Associated Disorders誌オンライン版2019年1月10日号の報告。 対象は、MCI-AD(臨床認知症評価法[CDR]:0または0.5)もしくは軽度ADdem(CDR:0.5または1)と臨床的に診断された2,242例。患者データは、National Alzheimer's Coordinating Center(NACC)の統一データセット(Uniform Data Set)より抽出した。CDR合計スコアおよび神経心理学的パフォーマンスの年次変化は、一般化線形混合モデルを用いて算出した。ChEIを使用する患者間で、使用開始前後の勾配を比較した。また、ChEI使用患者と非使用患者のスコア変化の比較も行った。 主な結果は以下のとおり。 ・ChEI使用患者の割合は、MCI-AD群944例中34%、ADdem群1,298例中72%であった。 ・MCI-AD群、ADdem群ともに、認知機能低下はChEI使用開始後に、より大きかった。たとえば、MCI-AD患者のCDR合計スコアは、ChEI開始前の0.03ポイント/年から、開始後の0.61ポイント/年に変化した(p<0.0001)。 ・MCI-AD群、ADdem群ともに、ChEI使用患者では、非使用患者よりも早く認知機能低下が認められた。たとえば、MCI-AD患者のCDR合計スコアは、ChEI使用患者で0.61ポイント/年、非使用患者で0.24ポイント/年であった(p<0.0001)。 著者らは「本研究は、ChEI使用がMCI-ADおよび軽度ADdemの認知機能を、改善しない可能性があることを示唆している」としている。 ■関連記事 抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の安全性、専門家による評価 男性医師と女性医師によるコリンエステラーゼ阻害薬の処方実態比較 コリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析 (鷹野敦夫) 原著論文はこちら Han JY, et al. Alzheimer Dis Assoc Disord. 2019 Jan 10. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 透析を要する腎不全患者、MRAは心血管死を予防するか/Lancet(2025/09/03) dalbavancinは複雑性黄色ブドウ球菌菌血症の新たな選択肢か?―DOTSランダム化臨床試験から―(解説:栗山哲氏)(2025/09/03) 日本の乳がんサバイバーにおける子宮体がんリスク(2025/09/03) 日本人急性期統合失調症患者の長期予後に最も影響する早期ターゲット症状は?(2025/09/03) 新インプラントデバイスがBCG不応性膀胱がんに有効(2025/09/03) 内リンパ嚢減荷術が回転性めまいと片頭痛に有効(2025/09/03) あなたの「心臓年齢」は何歳?(2025/09/03) 胆道がんのリスク因子とは?大規模データで明らかに(2025/09/03) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答14<上巻>(2019/03/15) 志水太郎の診断戦略ケーススタディ(2019/02/15) 今こそ風邪診療を見直す時【Dr.倉原の“俺の本棚”】第14回(2019/02/12) Dr.長尾の胸部X線クイズ 上級編 (2019/01/15) 全医師必携【Dr.倉原の“俺の本棚”】第13回(2019/01/11) 【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(5)(2019/01/08) Dr.須藤のやり直し酸塩基平衡 (2018/12/15) 僧侶の医師【Dr.倉原の“俺の本棚”】第12回(2018/12/11) 医師が選んだ"2018年の10大ニュース"! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】(2018/11/29)