日本人認知症高齢者における抗精神病薬使用および関連因子

提供元:ケアネット

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公開日:2019/01/17

 

 抗精神病薬は、死亡率や脳血管イベントに対するリスク増加と関連が認められているが、認知症患者の行動と心理症状(BPSD)のマネジメントに用いられている。日本におけるこれまでの研究では、抗認知症薬を処方中の高齢者における抗精神病薬の使用率の推定が行われてきた。筑波大学の黒田 直明氏らは、介護保険データを用いて、認知症高齢者における抗精神病薬使用率のより正確な推定値を算出し、抗精神病薬使用に関連する因子を特定するため、検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2018年11月27日号の報告。

 中規模地方都市の2012年4月~2013年9月までの医療および介護保険請求データ、要介護認定データを用いた。75歳以上の認知症が疑われる高齢者(抗認知症薬を処方および/または要介護認定データにおける認知症疑い)における抗精神病薬の1年使用率を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・参加者2万5,919例中、4,865例において認知症が疑われ、1,506例が抗認知症薬を処方されていた。
・抗精神病薬の使用率は、認知症が疑われる高齢者で10.7%であり、抗認知症薬を処方されていた高齢者(16.4%)より低かった。
・要介護認定データでの認知症疑いの高齢者4,419例において、抗精神病薬使用増加と関連が認められた因子は、認知機能低下(対軽度、調整オッズ比[aOR]:2.16、95%信頼区間[CI]:1.63~2.86)、抗認知症薬の処方(aOR:2.27、95%CI:1.84~2.81)、入居型の介護サービス利用(aOR:2.34、95%CI:1.85~2.97)であった。
・92歳以上では、77歳未満と比較し、抗精神病薬使用のオッズ比が低かった(aOR:0.42、95%CI:0.27~0.65)。

 著者らは「これらの所見は、BPSDの負担を推定し、不適切な抗精神病薬使用を減少させるための対策を講じるうえで役立つであろう」としている。

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