複合免疫療法の時代へ、変化する腎細胞がん薬物療法

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ケアネット

複合免疫療法の時代へ、変化する腎細胞がん薬物療法のイメージ

 転移した場合は有効な抗がん化学療法がなく、術後10年以上経過しても再発がみられる場合があるなど、ほかのがん種とは異なる特徴を多く持つ腎細胞がん。近年は分子標的治療薬が薬物療法の中心だったが、2016年8月に抗PD-1抗体ニボルマブの単剤療法(2次治療)、2018年8月にニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法(1次治療)が承認され、大きな変化が訪れている。12月7日、都内で「変化する腎細胞がんに対する薬物療法」と題したメディアセミナーが開催され(共催:小野薬品工業、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)、大家 基嗣氏(慶應義塾大学医学部泌尿器科 教授)が講演した。

根治ではなく逐次療法。副作用管理が課題だった分子標的薬治療
 腎細胞がんは早期から血管新生が顕著という特徴があり、分子標的薬はこの豊富な腫瘍血管をターゲットとしている。2008年にソラフェニブ、スニチニブという第1世代チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が、2012年にアキシチニブ、2014年にパゾパニブという第2世代TKIが承認された。1次治療でスニチニブ、2次治療でアキシチニブという流れがゴールドスタンダードだった時代を経て、「2017年度版 腎癌診療ガイドライン」ではTKI後の2次治療にニボルマブが加わっている。大家氏は、「2次治療でのニボルマブを含め、薬物療法での根治は難しく、効かなくなったら次の薬という逐次治療がこれまでの主体だった」と話した。

 また、これらの分子標的薬では、副作用のコントロールが大きな課題であった。血圧上昇、下痢、発疹が主な副作用で、スニチニブでは白血球減少や血小板減少も問題となる。

CheckMate-214試験からみえてきたこと
 CheckMate-214試験は、進行または転移を有する腎細胞がん1次治療において、ニボルマブ・イピリムマブ併用群のスニチニブ群に対する優越性・安全性を比較した第III相試験。腎細胞がんの80%以上を占める淡明細胞型、IMDC分類でIntermediateまたはPoorリスクの患者を対象として、観察期間中央値25.2ヵ月における全生存期間(OS)は、併用群で未達、スニチニブ群で26.0ヵ月(ハザード比:0.63)と、併用群で有意に延長した。本試験結果において、大家氏はとくに奏効率(ORR)に注目。併用群で完全奏効(CR)が9%だったことに触れ、「10人に1人で長期予後、場合によっては治癒すら狙えるというのは非常に大きい」と話した。

 副作用については、スニチニブ群と比較すると全体では少ない(Grade3以上の全副作用:併用群45.7% vs.スニチニブ群62.6%)。しかし注意すべきは免疫関連の有害事象で、ニボルマブ単剤の場合とその傾向は必ずしも一致しないという。大家氏は「胃腸毒性(大腸炎)や肝毒性(肝機能障害)はイピリムマブ併用で多い傾向がみられる。内分泌系臓器障害については、これまでのニボルマブ投与による甲状腺機能低下症のほか、下垂体炎の発現がみられている。肺毒性(間質性肺疾患)などと合わせて、常に注意を払う必要がある」と話した。

 また投与中止例について、治験薬毒性によるものが併用群24.5% vs.スニチニブ群11.8%と、むしろ併用群で多かったことを指摘。「全体として副作用は軽い傾向があるが、重篤な事象が発現した場合は中止が必要だという二面性がある」とコメントした。

1次治療での複合免疫療法の時代が到来
 NCCNガイドラインの2019年ver.1では、再発またはStageIVおよび切除不能な淡明細胞型腎細胞がんの1次治療として、IMDC分類のIntermediateまたはPoorリスクの患者に対しては、ニボルマブとイピリムマブの併用がpreferedレジメンとして推奨されている。

 現在、1次治療においては、CheckMate-214試験のほか、免疫療法に分子標的治療薬を組み合わせた複合免疫療法の臨床試験が複数進行中である。そのうち、これまで2次治療で使われていたアキシチニブと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用によるKEYNOTE-426試験、アキシチニブと抗PD-L1抗体アベルマブの併用によるJAVELIN RENAL-101試験などで、すでに良好な結果が報告されている。大家氏は、「今後は異なる組み合わせの複合免疫療法が登場してくるだろう。バイオマーカーを探すことは容易ではないが、どんな患者さんにどの治療法が適切かを臨床家は判断していかなければならない」と今後への期待感と課題を示した。

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(ケアネット 遊佐 なつみ)

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