抗インフルエンザ薬、使用上の注意改訂指示

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/24

 

 2018年8月21日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課から、抗インフルエンザウイルス薬の「使用上の注意」改訂指示の通知が出された。これは、5月と7月に行われた薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の結果を踏まえ、改訂が必要と判断されたもの。通知には、「オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)を含む抗インフルエンザ薬7成分の添付文書を速やかに改訂し、医薬関係者への情報提供など必要な措置を講ずること」と記されている。

オセルタミビル10代への使用制限解除へ
 添付文書の変更について、オセルタミビルの[警告]欄から、10歳以上の未成年の患者において、原則として使用を差し控える旨の記載が削除され、[重要な基本的注意]欄と[重大な副作用]欄に、「異常行動」についての追記が指示された。ほか6成分についても、オセルタミビルと同様の記載に改めるよう具体的な改訂指示がなされている。

異常行動による事故を予防するために
 医療従事者に向けた注意喚起では、「抗インフルエンザウイルス薬服用の有無や種類にかかわらず、異常行動に関連すると考えられる転落死などが報告されている」として、具体的な事例と防止策が示された。

 異常行動は、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多く、発熱から2日間以内に発現することが多いことが知られている。具体例として以下が挙げられている。
 ・突然立ち上がって部屋から出ようとする
 ・興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする
 ・人に襲われる感覚を覚え、外に走り出す
 ・突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする
 ・自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない
 ・変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る など

保護者に注意を呼びかけること
 保護者には、インフルエンザが疑われる発熱から少なくとも2日間は、就寝中を含め、とくに小児・未成年者が容易に住居外へ飛び出さないよう注意を伝え、以下のような対策を講じるよう具体的な説明が必要とされている。
 ・玄関やすべての部屋の窓を確実に施錠する
  (内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合は、その活用を含む)
 ・ベランダに面していない部屋で寝かせる
 ・窓に格子のある部屋がある場合は、その部屋に寝かせる
 ・一戸建ての場合は、できる限り1階に寝かせる

 インフルエンザにかかった際は、飛び降りなどの異常行動を起こす恐れがあることを医療従事者・患者の家族が十分に理解し、異常行動に備えた対策を徹底することが求められる。

(ケアネット 堀間 莉穂)