ribociclib+フルベストラント、閉経後乳がんのPFSを延長(MONALEESA-3)/ASCO2018

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2018/07/09

 

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんの閉経期、閉経前、閉経後の女性においては、内分泌療法にCDK4/6阻害薬ribociclibを併用することで、無増悪生存(PFS)が有意に改善することが、2つの第III相試験(MONALEESA-2試験、MONALEESA-7試験)で示されている。また、CDK4/6阻害薬・フルベストラント併用療法は、内分泌療法施行後に病勢が進行したHR陽性乳がん患者における有用性が報告されている。

 そこで、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDennis J,Slamon氏らは、未治療または1ラインの内分泌療法を受けたHR陽性HER2陰性進行乳がんの閉経後女性において、ribociclib+フルベストラント併用療法の有用性を評価するプラセボ対照ランダム化第III相試験(MONALEESA-3試験)を実施した。

 被験者は、ribociclib(600mg/日、経口、3週投与、1週休薬)+フルベストラント(500mg、28日を1サイクルとし、1サイクル目のDay 1、Day 15、それ以降はDay 1)を施行する群、またはプラセボ+フルベストラントを施行する群に2対1の割合でランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは治験担当医判定によるPFSであり、副次エンドポイントは全生存(OS)、全奏効率(ORR)、臨床的有用性率(CBR、全症例ではCR+PR+[24週以上持続するSD+非CR/非PD]、測定可能病変例ではCR+PR+[24週以上持続するSD])などであった。

 2015年6月〜2016年6月の期間に726例(最大の解析対象集団[FAS])が登録され、ribociclib群に484例、プラセボ群には242例が割り付けられた。安全性解析はそれぞれ483例、241例で行われた。データカットオフ日は2017年11月3日であり、追跡期間中央値は20.4ヵ月であった。

 ベースラインの年齢中央値は、ribociclib群が63歳、プラセボ群も63歳であった。転移部位は、内臓がそれぞれ60.5%、60.3%、骨のみが21.3%、21.1%であり、未治療が49.2%、53.3%、1ラインの内分泌療法歴ありが48.8%、45.0%であった。

 治験担当医判定によるPFS期間中央値は、ribociclib群が20.5ヵ月と、プラセボ群の12.8ヵ月に比べ有意に延長し(ハザード比[HR]:0.593、95%信頼区間[CI]:0.480〜0.732、片側検定:p<0.00000041)、病勢進行(PD)のリスクが約41%低減した。独立評価委員会による盲検下の判定では、PFS期間中央値はribociclib群が未到達、プラセボ群は10.9ヵ月であった(HR:0.492、95%CI:0.345〜0.703)。また、PFSのサブグループ解析では、アジア人を除きribociclib群がプラセボ群よりも良好であったが、これまでに行われた試験では有効性に関して人種差は認めておらず、アジア人は症例数が少ないためと考えられた。さらに、未治療例(未到達 vs 18.3ヵ月、HR:0.577、95%CI:0.415〜0.802)および1ラインの内分泌療法歴ありの例(14.6 vs 9.1ヵ月、0.565、0.428〜0.744)とも、PFSはribociclib群が有意に優れた。

 ORRは、全症例ではribociclib群が32.4%、プラセボ群は21.5%(p=0.000912)、測定可能病変を有する患者ではそれぞれ40.9%、28.7%(p=0.003)で、CBRは、全例症例では70.2%、62.8%(p=0.020)、測定可能病変を有する患者では69.4%、59.7%(p=0.015)であり、いずれもribociclib群が有意に良好だった。OSのデータは未成熟であった。

 ribociclib群の主な血液毒性として、好中球減少(全Grade:69.6%、Grade 3:46.6%、Grade 4:6.8%)および白血球減少(28.4%、13.5%、0.6%)が認められた。また、非血液毒性としては、悪心(全Grade:45.3%、Grade 3:1.4%)、疲労(31.5%、1.7%)、下痢(29.0%、0.6%)の頻度が高かった。これらの安全性プロファイルは管理可能であり、以前の第III相試験と一致していた。

 これらの結果を踏まえ、Slamon氏は、「ribociclib+フルベストラント併用療法は、閉経後のHR陽性/HER2陰性進行乳がんの新たな1次または2次治療となる可能性がある」と結んだ。

■参考
ASCO2018 Abstract

※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

(ケアネット)