全国の抗菌薬の使用状況が一目瞭然

提供元:ケアネット

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公開日:2018/04/05

 

 薬剤耐性(AMR)対策のために国立国際医療研究センターに設置された「AMR臨床リファレンスセンター」(センター長:大曲 貴夫氏)は、国内初の取り組みとして「国内都道府県別抗菌薬使用量(販売量)統計データ」の公開ならびに「薬剤耐性(AMR)ワンヘルス動向調査」のWEBサイト開設を4月3日に発表した。これら抗菌薬使用量や薬剤耐性菌のサーベイランス(調査・監視システム)は、今後のAMR対策の重要な基礎データとなる。

2016年の抗菌薬使用量が一番多いのは石川県
 「都道府県別抗菌薬使用量(販売量)集計データ」は、AMRアクションプラン実行のため、都道府県別抗菌薬使用量や使用増減率を発表することで、医療従事者をはじめ行政団体への抗菌薬処方量の意識改革につなげる。また、サーベイランス事業を通じ、情報の収集・分析・発信を積極的に行うことでAMRの認知、啓発を行うことを目的に公開される。
 今回公開された2016年の「都道府県別抗菌薬使用量」では、石川県、徳島県、大分県、東京都、広島県の順で多く、とくに石川県では、「ペニシリン以外のβラクタム」の使用が目立った。また、「都道府県別抗菌薬使用量増減2013~2016」では、石川県、沖縄県、大分県の順で増加していることが示された。
 主な公開データとして「抗菌薬使用量変化2013-2016(抗菌薬種類別)」「同(投与経路別)」「都道府県別抗菌薬使用量2013-2016」「同(薬効割合)」「都道府県別抗菌薬使用増減 2013-2016」などを照会することができる。
都道府県別抗菌薬使用量サーベイランス

薬剤耐性をワンヘルスの視点からみる
 「薬剤耐性ワンヘルス動向調査」は、ヒト・動物・食品および環境から分離される薬剤耐性菌に関する統合的なワンへルス動向調査データである。これらのデータは、AMRの現状把握、問題点抽出、適切な施策の遂行に役立てられ、データは視覚的なグラフと表形式を用意し、直感的でわかりやすく提供されている。
 今後、多分野間の連携・協力が進むことで、AMR対策のさらなる前進が期待され、これら先進的な調査が、世界のAMR対策をリードするうえでも重要になると考えられている。
 主な統計データとして「耐性菌・感染症の推移」「抗菌薬の推移」「一般国民の意識」「医療関係者の意識」の4つを照会することができる。
薬剤耐性ワンヘルス動向調査

(ケアネット 稲川 進)