肺動脈性肺高血圧症、ralinepagが臨床的悪化リスクを半減/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/07

 

 現在の標準治療を受けている肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者において、ralinepagはプラセボと比較し、臨床的悪化の初回イベントリスクを有意に低下させたが、有害事象による治療中止の発現割合は高かった。米国・ミシガン大学のVallerie V. McLaughlin氏らADVANCE OUTCOMES Investigatorsが、30ヵ国の169施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「ADVANCE OUTCOMES」の結果を報告した。PAHは肺血管抵抗の上昇を特徴とする希少かつ進行性の疾患であり、右心不全や早期死亡に至る可能性がある。ralinepagは選択的プロスタサイクリン(IP)受容体作動薬で、1日1回経口投与のPAH治療薬として開発された。Lancet誌オンライン版2026年7月28日号掲載の報告。

主要評価項目は臨床的悪化

 研究グループは、2022欧州心臓病学会(ESC)/欧州呼吸器学会(ERS)ガイドラインに基づきPAHと診断され、平均肺動脈圧>20mmHg、肺動脈楔入圧≦15mmHg、肺血管抵抗>2Wood単位、WHO機能分類クラスII~IVの18歳以上の患者を、ralinepag群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 無作為化の層別因子は、ベースラインにおける6分間歩行距離(6MWD)、PAHの病因、およびPAHに対する経口併用療法であった。治験の依頼者、患者、および治験の実施に直接関与するすべての担当者は、試験薬およびすべての割り付けについて盲検化された。

 投与は1日1回50μgから開始し、治験責任医師の判断により最大耐量に達するまで毎週50μg単位で増量調整した。

 主要評価項目は、臨床的悪化の初回イベント発生であった。臨床的悪化は全死因死亡、PAHの悪化・右心不全・またはその両方による入院、非経口または吸入プロスタサイクリン製剤の投与開始、疾患進行または長期的な臨床反応不十分の複合と定義した。

 有効性解析対象集団は、無作為化されたすべての患者(FAS)、安全性解析対象集団はFASのうち試験薬を少なくとも1回投与された患者とした。

ralinepagはプラセボと比較して臨床的悪化のリスクを55%有意に低下

 2019年1月24日~2025年6月20日に、スクリーニングを受けた1,037例中728例が登録され無作為化された。全例が試験薬の投与を1回以上受けたが、規制上の課題およびデータの完全性に関する懸念から中国の施設で無作為化され治療を受けた41例を除外し、687例が有効性および安全性の解析対象集団に包含された(ralinepag群350例、プラセボ群337例)。患者背景は、ベースラインの6MWD平均値は438.9m(SD 104.8)で、548例(80%)がPAHに対する2剤併用療法を受けていた。

 追跡期間中央値は、ralinepag群85.0週(四分位範囲[IQR]:27.6~160.9)、プラセボ群78.4週(IQR:34.6~137.0)であった。

 臨床的悪化の初回イベントは、ralinepag群で350例中64例(18%)、プラセボ群で337例中121例(36%)に認められ、ハザード比は0.45(95%信頼区間:0.33~0.62、p<0.0001)であった。

 臨床的悪化の構成要素で群間差が数値的に最も大きかったのは、疾患進行、非経口または吸入プロスタサイクリン製剤の投与開始、長期的な臨床反応不十分であった。

 治療中止の主な理由は有害事象で、有害事象による治療中止はralinepag群で65例(19%)、プラセボ群で10例(3%)に発現した。重篤な有害事象の発現は、ralinepag群で98例(28%)、プラセボ群で104例(31%)、死亡に至った有害事象はそれぞれ15例(4%)および14例(4%)に認められた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)