ジェネリックとブランド、中枢神経系用薬における自殺や自殺念慮の比較 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/01/09 これまで、中枢神経系(CNS)に作用するそれぞれの異なるタイプの薬剤は、自殺や自殺念慮のリスク増加と関連しているといわれていた。しかし、CNS用薬のブランド医薬品とジェネリック医薬品との間に、自殺リスクの差異があるかは報告されていない。米国・オーバーン大学のNing Cheng氏らは複数のデータソースを用いて、CNS用薬のブランド医薬品とジェネリック医薬品における自殺の有害事象を比較した。Drug safety誌オンライン版2017年12月2日号の報告。 CNS用薬の選択例(セルトラリン、ガバペンチン、ゾルピデム、メチルフェニデート)を、仮説生成型研究のため米国FDA有害事象報告システム(FAERS)によって評価し、その後、より厳密なレトロスペクティブコホート研究のために診療報酬請求および健康医療電子記録(EHR)のデータで評価した。報告オッズ比(ROR)と95%信頼区間(CI)による不均衡分析はFAERSの分析を用いて行い、各薬剤と報告された自殺との関連性を定量化した。コホート研究では、Cox比例ハザードモデルを用いて、被保険者集団の人口統計学的特徴および臨床的特徴、自殺の背景リスクを調整した。 主な結果は以下のとおり。 ・FAERSの分析では、4剤の研究対象薬すべてにおける自殺報告率は、ブランド医薬品がジェネリック医薬品と比較して有意に低かった(Breslow-Day検定:p<0.05)。 ・診療報酬請求とEHRに基づくコホート研究では、調整されたハザード比(HR)は、セルトラリンのみで統計学的に有意であった(HR:0.58、95%CI:0.38~0.88)。 著者らは「FAERSの分析による自殺報告率は、CNS用薬のブランド医薬品よりもジェネリック医薬品で不相応に高く、調整されたレトロスペクティブコホート分析でも、セルトラリンについてのみ有意であった。しかし、セルトラリンについても、ブラックボックス警告の近接性やジェネリック医薬品の利用度に関連する時間的交絡の可能性がある。薬剤を追加したより大きなデータソースによる、さらなる分析が必要である」としている。 ■関連記事 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は 自殺予防の介入効果はどの程度あるのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Cheng N, et al. Drug Saf. 2017 Dec 2. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 低用量ゾルピデム舌下錠、不眠症患者における中途覚醒後の入眠潜時を短縮 比較(2013/02/18) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] IgA腎症、sibeprenlimabは蛋白尿を有意に減少/NEJM(2025/12/11) BRAF変異陽性大腸がん、最適な分子標的療法レジメンは?/BMJ(2025/12/11) SGLT2阻害薬の腎保護作用:eGFR低下例・低アルブミン尿例でも新たな可能性/JAMA(解説:栗山哲氏)(2025/12/11) 日本の精神科外来における頭痛患者の特徴とそのマネジメントの現状(2025/12/11) 認知症リスク低減効果が高い糖尿病治療薬は?~メタ解析 (2025/12/11) 日常生活のルーティンの乱れが片頭痛を誘発か(2025/12/11) 膵管拡張は膵臓がんの警告サイン(2025/12/11) ビタミンDの個別化投与で心筋梗塞リスクが半減(2025/12/11) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)