てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/05/04 新規抗てんかん薬(AED)の処方は増加しているが、てんかん重積状態(SE)に対する新規AEDの使用およびアウトカムへの影響についてのデータは限られている。スイス・Centre Hospitalier Universitaire VaudoisのIsabelle Beuchat氏らは、実臨床における新規AEDと従来型AEDの処方パターンの変化や予後との関連について検討を行った。CNS drugs誌2017年4月号の報告。 2007~16年の10年にわたるプロスペクティブSEレジストリを分析し、新規AEDと従来型AEDの年次使用量と死亡率との関連、退院時のベースライン状態への回復、ベンゾジアゼピンを含む2種類のAEDに対する治療抵抗性として定義される難治性SEを評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・SEエピソード884件(該当患者719例)のうち、新規AED処方は、2007年のSEエピソード当たり0.38から、2016年の1.24へ増加した。主な薬剤は、レベチラセタムおよびラコサミドであった。 ・ベンゾジアゼピンを除く従来型AEDは、2007年の0.74から、2016年の0.41へ減少しており、フェニトインの処方が減少していた。 ・新規AED処方は、退院時のベースライン状態への回復の可能性が低く(OR:0.58、95%CI:0.40~0.84)、SE耐性率が高かったが(OR:19.84、95%CI:12.76~30.84)、死亡率に変化は認められなかった(OR:1.08、95%CI:0.58~2.00)。 著者らは「過去10年間で、SEに対する新規AED処方は増加傾向を示したが、退院時のSE難治化や新たな障害の危険性増加と関連することが示唆された。今後のプロスペクティブ比較研究により、SEに対する新規AEDの日常的な使用におけるいくつかの注意点を、正当化する可能性がある」としている。 関連医療ニュース 難治性てんかん重積状態への有用な対処法 てんかん重積状態に対するアプローチは 世界のてんかん研究を解析、有病率に影響を与える要因は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Beuchat I, et al. CNS Drugs. 2017;31:327-334. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは 医療一般(2014/08/19) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM(2025/04/25) 米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA(2025/04/25) 症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂(2025/04/25) サブタイプ別転移乳がん患者の脳転移発生率、HER2低発現の影響は(2025/04/25) 2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究(2025/04/25) 遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か(2025/04/25) tenecteplase、脳梗塞治療でアルテプラーゼと同等の効果(2025/04/25) 低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査(2025/04/25) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)