非薬物療法でもスポンサーバイアスは存在するか

提供元:ケアネット

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公開日:2016/11/21

 

 心理療法などの非薬物療法におけるスポンサーバイアスは、十分に研究されていない。ルーマニア・Babes Bolyai UniversityのIoana A Cristea氏らは、うつ病に対する心理療法と薬物療法を直接比較したランダム化比較試験における企業の資金調達と著者の利益相反(COI)について調査した。The British journal of psychiatry誌オンライン版2016年11月3日号の報告。

 企業出資の有無、著者の金銭的COIの有無による臨床試験を比較し、メタ解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・45件の研究が抽出された。
・ほとんどの分析によると、企業出資による試験において、薬物療法は一貫して心理療法を上回る有意な有効性を示していた(g=-0.11、95%CI:-0.21~-0.02)。
・企業出資の有無による臨床試験の差は有意であり、感度分析において結果は部分的に確認されただけだった。
・金銭的COIを報告していなかった元文献の著者は5例特定された、

 著者らは「企業出資によるうつ病の臨床試験では、心理療法よりも薬物療法を好む傾向がある。製薬企業からのすべての出資の開示が奨励されるべきである」としている。

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