高齢者への抗精神病薬投与、中止までの期間を解析

提供元:ケアネット

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公開日:2016/11/07

 

 ニュージーランドや全世界で適応可能なコンセンサスガイドラインでは、統合失調症や長期間の治療が必要とされる重度の精神症状を有する精神疾患でない限り、抗精神病薬の曝露期間は12週間を超えないことが推奨されている。しかし、第2世代抗精神病薬(SGA)の初回中止までの期間(time-to-first discontinuation:TTFD)について、高齢者における実臨床の情報は限られている。ニュージーランド・オタゴ大学のHenry C Ndukwe氏らは、65歳以上のSGA新規処方患者におけるTTFD、アドヒアランス、持続性を比較した。Journal of clinical psychopharmacology誌2016年12月号の報告。

 SGA新規処方患者3万297例を対象に、2006年1月1日~2012年12月31日までの抗精神病薬中止状況を追跡した。経口製剤のデータは、ニュージーランド健康省の健康医療データベースを使用し、抽出した。TTFDは91日以上のギャップを分配、アドヒアランスは投薬所持率0.8以上、持続性は91日未満のギャップ期間と定義した。カプランマイヤー曲線、Cox回帰分析を推定し、結果を調整するために使用した。

 主な結果は以下のとおり。

・SGA新規処方患者の全体的なTTFDは192.3日(95%CI:177.6~206.9)、平均年齢80.9歳(SD:8.1歳)女性率60.3%であった。
・TTFDは、リスペリドン68.3日(95%CI:43.7~92.9)で、クロザピン101.3日(95%CI:85.0~117.7、p=0.03)と比較し最も短かった。
・調整後の全原因によるTTFDは、クロザピンと比較し、リスペリドン(ハザード比:0.54)、オランザピン(ハザード比:0.29)、クエチアピン(ハザード比:0.22)、ziprasidone(ハザード比:0.08)において有意に低かった。
・ノンアドヒアランス群では、アドヒアランス群と比較し、TTFDリスクが3倍以上であった。

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