性行為は認知機能を上げる? 50歳以上の男女

提供元:ケアネット

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公開日:2016/09/16

 

 健康な50歳以上の男女において、性行為は認知機能向上との関連が認められることが、英国・コヴェントリー大学のHayley Wright氏らの研究で明らかになった。過去12ヵ月で性行為を行った男性は実行機能と記憶機能、女性は記憶機能が、行わなかった人と比べて有意に高かった。この関連のメカニズムとしては、現在、神経伝達物質がメディエーターとして働いている可能性が議論されている。50歳以上の人に対して、医療現場での性カウンセリングを促進することで、認知機能のささやかな向上が見込めるかもしれない。Age and ageing誌2016年3月号の報告。

 現在、健康な高齢者の性行為と認知機能との関連について研究が進んでいる。

 本研究では、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)Wave6のデータ(1万601人、50~89歳)のうち、“過去12ヵ月で性行為を行ったか?”という質問に回答した6,833人(男性3,060人、女性3,773人)のデータを用いて、性行為と認知機能の関連について検討した。認知機能は、実行機能に関わる「数値配列」と記憶に関わる「単語想起」の2種類のテスト結果から評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・過去12ヵ月で性行為を行ったと回答した人は4,497人(男性2,349人、女性2,148人)、行わなかったと回答した人は2,336人(男性711人、女性1,625人)であった。
・年齢、教育、富、身体活動、うつ病、共同生活の有無、健康状態の自己評価、孤独感、QOLで調整後、男性の過去12ヵ月の性行為と数値配列スコアおよび単語想起スコアとの間に有意な関連が認められた。
・一方、女性は過去12ヵ月の性行為と単語想起スコアとの間のみ、有意な関連を認めた。
・以上の結果より、過去12ヵ月で性行為を行った男性は実行機能と記憶機能、女性は記憶機能が行っていない人と比べて有意に高いことが示された。

(ケアネット 武田 真貴子)