抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/07/11 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗うつ薬治療うつ病患者におけるZ薬補助療法の有効性や忍容性に関する包括的なメタアナリシスを行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2016年6月18日号の報告。 著者らは、うつ病患者におけるZ薬の無作為化プラセボ/抗うつ薬単独対照試験を抽出した。有効性と安全性の主要評価項目は、それぞれ寛解率と全原因による中止とした。副次評価項目は、反応率、HAMD合計スコアの改善、無効および有害事象による中止、個々の有害事象とした。リスク比(RR)、NNT/NNH、95%CI、標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・6件が抽出された。 SSRI+ベンラファキシン(平均期間:10.5週、平均年齢:44.4±11.8歳):2,089例 エスゾピクロン+抗うつ薬:642例 プラセボ+抗うつ薬:930例 抗うつ薬単独:112例 ゾルピデム+抗うつ薬:405例 ・寛解率について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬よりも優れていた(RR:0.85、NNT:10)。 ・HAMDスコアの改善について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独よりも優れていたものの(SMD:-0.23)、反応率、無効による中止率に有意な群間差はみられなかった。 ・全原因による中止率に群間差はみられなかった。 ・有害事象による中止率に群間差はみられなかったが、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、1件以上の有害事象発生(RR:1.09、NNH:20)、めまい(RR:1.76、NNH:25)の発生率の高さとの関連が認められた。 著者らは「Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、うつ病治療の有効性の改善が期待できるが、有害事象、とくにめまいへの密なモニタリングが必要である」としている。 関連医療ニュース 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kishi T, et al. Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci. 2016 Jun 18. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 抗うつ薬とベンゾジアゼピン併用療法に関連する死亡リスク 医療一般(2021/01/08) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 母体HIVウイルス量、母子感染に与える影響は?/Lancet(2025/07/25) ミトコンドリアDNA疾患女性、ミトコンドリア置換で8児が健康出生/NEJM(2025/07/25) “早期乳癌”の定義を変更、「乳癌取扱い規約 第19版」臨床編の改訂点/日本乳癌学会(2025/07/25) 臨床研究への患者・市民参画のいまとこれから/日本リンパ腫学会(2025/07/25) 抗精神病薬の早期処方選択が5年後の体重増加に及ぼす影響(2025/07/25) スタチンはくも膜下出血リスクを下げる?~日本のレセプトデータ(2025/07/25) 経尿道的高周波治療が間質性膀胱炎患者の骨盤痛を緩和(2025/07/25) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)