陰性症状の重症度と表情認知との関連を検証 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/02/11 統合失調症の陰性症状における相手の顔の表情に関する、selective attention(脳の情報処理において、複数の刺激から特定の刺激だけを選択すること)のバイアスと事後記憶(subsequent memory)への影響を、韓国・高麗大学のSeon-Kyeong Jang氏らが評価した。Cognitive neuropsychiatry誌オンライン版2016年1月20日号の報告。 陰性症状レベルが高いまたは低い統合失調症患者30例(各15例)と健常対照者21例を対象に、ビジュアルプローブ検出法によりselective attentionバイアスを調査した(幸せ、悲しみ、怒りの表情がランダムに50、500、1000ミリ秒表示)。表情記憶課題に対する諾否を収集した。attentionバイアススコアと認識エラーを計算した。 主な結果は以下のとおり。 ・valence(ポジティブまたはネガティブな感情)に関係なく、表情が500ミリ秒表示されたとき、陰性症状レベルが高いと自然な表情に対して感情的な表情の認識が低下し、陰性症状レベルが低いと逆パターンが示された。 ・陰性症状レベルが高い患者では、健常対照者と比較し、幸せな表情に対する記憶課題の誤りがより多かった。 ・統合失調症患者のみにおいて、ビジュアルプローブ検出法による感情的な表情の認知減少は、喜びや意欲の少なさ、幸せな表情のより多い認識エラーと有意に相関していた。 ・比較的初期のアテンショナルプロセスやポジティブ記憶の減少に付随する感情的な情報へのattentionバイアスは、陰性症状による病理学的メカニズムと関連していると考えられる。 関連医療ニュース 精神疾患患者の認知機能と炎症マーカーとの関連が明らかに 第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは チェリージュースで認知機能が改善 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Jang SK, et al. Cogn Neuropsychiatry. 2016 Jan 20:1-15. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は 医療一般(2017/08/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM(2025/04/25) 米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA(2025/04/25) 症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂(2025/04/25) サブタイプ別転移乳がん患者の脳転移発生率、HER2低発現の影響は(2025/04/25) 2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究(2025/04/25) 遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か(2025/04/25) tenecteplase、脳梗塞治療でアルテプラーゼと同等の効果(2025/04/25) 低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査(2025/04/25) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)