せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/11/05 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、2007年に報告した、せん妄治療に対する抗精神病薬のメタ解析のアップデートを行った。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌オンライン版2015年9月4日号の報告。 本メタ解析には、せん妄の成人患者を対象とし、対照(プラセボまたは通常ケア)と比較した抗精神病薬の無作為化比較試験を用いた。主要評価項目は、試験終了時の反応率とした。副次評価項目は、せん妄の重症度改善、臨床全般印象・重症度尺度(CGI-S)、無作為化から奏効までの期間(time to response : TTR)、中断率、個々の有害事象とした。リスク比(RR)、治療必要数(NNT)および有害必要数(NNH)、95%CI、標準化平均差(SMD)が計算された。 主な結果は以下のとおり。 ・15件の系統的レビュー(平均期間9.8日、総症例数949例、amisulpride 20例、アリピプラゾール8例、クロルプロマジン13例、ハロペリドール316例、オランザピン筋注またはハロペリドール注62例、オランザピン144例、プラセボ75例、クエチアピン125例、リスペリドン124例、通常ケア30例、ziprasidone32例)、4件の学会抄録と未発表研究を同定した。 ・抗精神病薬治療群全体でまとめると、プラセボや通常ケアと比較し、反応率(RR:0.22、NNT:2)、せん妄の重症度スコア(SMD:-1.27)、CGI-S(SMD:-1.57)、TTR(SMD:-1.22)の点で優れていた。 ・また、抗精神病薬治療群はプラセボや通常ケアと比較し、口渇(RR:13.0、NNH:5)、鎮静(RR:4.59、NNH:5)の発生率が高かった。 ・第2世代抗精神病薬群でまとめると、ハロペリドールと比較し、TTRが短く(SMD:-0.27)、錐体外路症状の発生率が低かった(RR:0.31、NNH:7)。 ・第2世代抗精神病薬は、ハロペリドールと比較し、有効性・安全性の面でせん妄治療に有用であることが示唆された。ただし、より大規模なサンプルを用いた、さらなる研究が必要である。 関連医療ニュース せん妄患者への抗精神病薬、その安全性は せん妄管理における各抗精神病薬の違いは 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kishi T, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2015 Sep 4. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 「がん患者におけるせん妄ガイドライン」が発刊! 医療一般(2019/04/09) せん妄に対するリスペリドン vs. ハロペリドール vs.プラセボ 医療一般(2017/01/11) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] PIK3CA変異の内分泌療法抵抗性HR+/HER2-乳がん、inavolisib追加でPFS・OS改善(INAVO120)/NEJM(2025/06/11) 高リスク頭頸部がん、CRT+ニボルマブの術後補助療法が20年振りの新たな標準治療に(NIVOPOSTOP)/ASCO2025(2025/06/11) HRR関連遺伝子に病的バリアントを有するmCSPCへのニラパリブ+AAP、rPFS改善(AMPLITUDE)/ASCO2025(2025/06/11) COPD初の生物学的製剤デュピルマブへの期待/サノフィ(2025/06/11) うつ病合併片頭痛に対するフレマネズマブの有効性〜UNITE試験(2025/06/11) HER2+乳がん術前療法、THP vs.TCHP(neoCARHP)/ASCO2025(2025/06/11) 眠気の正体とは?昼間の眠気は異常?/日本抗加齢医学会(2025/06/11) スポーツを現地観戦する高齢者は幸福感が高い/千葉大(2025/06/11) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)