せん妄患者への抗精神病薬、その安全性は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/07/22 冠疾患集中治療室(coronary care unit:CCU)入室患者において、せん妄の発生は、院内死亡率および1年死亡率の増大と関連していたことが、米国・メイヨークリニックのNiyada Naksuk氏らによる、過去10年の経験に基づく所見として報告された。これまで、せん妄患者に対する抗精神病薬治療の安全性は、ほとんど明らかになっていなかったが、ハロペリドールおよびクエチアピンの低用量投与は、注意深いモニタリング下にあった患者においては突然死、院内死亡、1年死亡のリスク増大はみられず、安全であると思われたことも報告している。European Heart Journal: Acute Cardiovascular Care誌オンライン版2015年6月29日号の掲載報告。 研究グループは2004~2013年の間に、CCU入室連続患者のスクリーニング時に事前調査としてConfusion Assessment Method-Intensive Care Unit(CAM-ICU)評価を行い、死亡について前向きに確認し、CCU患者におけるせん妄および抗精神病薬の影響を調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者は1万1,079例で、せん妄発生率は8.3%(925例)であった。 ・せん妄は、院内死亡リスクの増大(補正後オッズ比[OR]:1.49、95%信頼区間[CI]:1.08~2.08、p=0.02)、CCU生存退室した患者における1年死亡リスクの増大(同:1.46、1.12~1.87、p=0.005)と関連していた。 ・ハロペリドールを投与(5mg/日、四分位範囲[IQR]:3~10)またはクエチアピンを投与(25mg/日、IQR:13~50)された総計792例のうち、せん妄を有していた患者は244例であった。 ・せん妄を呈した患者の臨床的特徴について、抗精神病薬投与の有無で差はみられなかった。ベースライン修正QT(QTc)間隔は、投与群457±58ms vs.非投与群459±60msであった(各々p=0.65)。 ・平均QTc間隔は、ベースラインとの比較で、抗精神病薬初回投与後、同3回投与後も有意な延長は認められなかった。ハロペリドール投与群の各平均値は448±56、458±57、450±50ms、クエチアピン投与群は470±66、467±68、462±46msであった(すべてのp>0.05)。 ・さらに、院内死亡率(補正後OR:0.67、95%CI:0.42~1.04、p=0.07)、心室性不整脈(同:0.87、0.17~3.62、p=0.85)、院内生存者の1年死亡率(同:0.86、0.62~1.17、p=0.34)は、せん妄患者において、抗精神病薬投与の有無による差はみられなかった。 関連医療ニュース せん妄管理における各抗精神病薬の違いは 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬 せん妄治療はICU患者の死亡率に影響するのか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Naksuk N, et al. Eur Heart J Acute Cardiovasc Care. 2015 Jun 29. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 世界の疾病負担とリスク因子、1990~2023年の状況/Lancet(2025/10/27) 冠動脈バイパス術後の新規AF発症、術後30日以後はリスク低い?/JAMA(2025/10/27) 低用量アスピリンが再発予防効果を認める大腸がんのタイプが明らかになった(解説:上村 直実氏)(2025/10/27) ctDNA陽性のMIBC患者、術後アテゾリズマブ投与でDFS・OS改善(IMvigor011)/ESMO2025(2025/10/27) ALK陽性NSCLCへの術後アレクチニブ、4年OS率98.4%(ALINA)/ESMO2025(2025/10/27) 胃がん初のFGFR2b阻害薬、長期追跡では治療効果が減弱(FORTITUDE-101)/ESMO2025(2025/10/27) 寛解後の抗精神病薬減量は認知機能改善に寄与するか(2025/10/27) monarchE試験のOS結果が発表/ESMO2025(2025/10/27) アナフィラキシーへのアドレナリン点鼻投与の効果、エピペンと同等以上(2025/10/27) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) Sedation for All ―安全で確実な鎮静・鎮痛プログラム― (2015/02/15) Dr.林の笑劇的救急問答10<下巻> 【胸痛編 】(2015/01/09) Dr.林の笑劇的救急問答10<上巻> 【電解質異常編】(2014/09/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)