双極性障害の自殺、どの程度わかっているのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/08/18 双極性障害患者の自殺企図や自殺死には多くの要因が影響を及ぼしている。国際双極性障害学会(ISBD)では、こうした要因の存在やその影響度に関する文献をまとめた自殺に関するタスクフォース報告書を発表した。筆頭著者であるカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、「研究の対象やデザインが不均一性であるため、これら要因の影響度を再検討し確定するさらなる研究が必要である。このことが最終的には、双極性障害患者のリスク層別化の改善につながる」と述べている。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。 ISBDは、「双極性障害」と「自殺企図または自殺」をキーワードに1980年1月1日から2014年5月30日までに発表された論文を対象として、システマティックレビューを行った。双極性障害患者の自殺企図や自殺死に関連すると思われる要因について、すべての報告を調査した。要因を、(1)社会人口統計学的、(2)双極性障害の臨床的特徴、(3)併存疾患、(4)その他の臨床変数、の4つに分類し分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・20の特異的要因が自殺企図や自殺死にどのように影響するかを調査した141件の研究を特定した。 ・要因については、それぞれのエビデンスのレベルや一致の程度にばらつきがあった。 ・その中で少なくとも1件の研究で、以下の要因について影響があることが認められた。性別、年齢、人種、婚姻状況、宗教、発症年齢、罹患期間、双極性障害のサブタイプ、初回エピソードの極性、現在/最近のエピソードの極性、優位極性、気分エピソードの特徴、精神病、精神疾患の併存、パーソナリティ特性、性的機能不全、自殺や気分障害の一親等家族歴、自殺企図歴、若年期のトラウマ、心理社会的要因。 関連医療ニュース 双極性障害、退院後の自殺リスクが高いタイプは 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Schaffer A, et al. Aust N Z J Psychiatry. 2015 Jul 14. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 双極性障害とADHDは密接に関連している 疫学(頻度)(2013/01/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM(2025/04/25) 米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA(2025/04/25) 症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂(2025/04/25) サブタイプ別転移乳がん患者の脳転移発生率、HER2低発現の影響は(2025/04/25) 2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究(2025/04/25) 遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か(2025/04/25) tenecteplase、脳梗塞治療でアルテプラーゼと同等の効果(2025/04/25) 低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査(2025/04/25) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)