治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/07/02 うつ病に対する非定型抗精神病薬治療に関するメタ解析の報告では、2つの治療を直接比較した試験は限られている。中国・重慶医科大学のXinyu Zhou氏らは、無作為化比較試験の直接的または間接的なエビデンスを統合し、治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬による補助的な治療の有効性と忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月25日号の報告。 本レビューは、7種類の異なる用量の非定型抗精神病薬とプラセボを比較した18件の無作為化比較試験(n=4,422)を対象とした。 主な結果は以下のとおり。 ・すべての標準用量での非定型抗精神病薬治療は、プラセボと比較して有意な有効性が認められた(SMD:-0.27~-0.43)。また、これらの薬剤間で有意な差はなかった。 ・低用量の非定型抗精神病薬治療は、プラセボと比較して、有効性に有意な差はなかった。 ・忍容性に関しては、リスペリドン以外の標準用量の抗精神病薬治療において、プラセボと比較し、副作用による中止が有意に多かった(OR 2.72~6.40)。 ・受容性の面では、クエチアピン(平均250~350mg/日)だけがプラセボと比較し、全原因による中止が有意に多かった(OR 1.89)。 ・QOLおよび機能の面では、標準用量のリスペリドンとアリピプラゾールがプラセボと比較し、有益であった(SMD:各々-0.38、-0.26)。また、標準用量のリスペリドンはクエチアピン(250~350mg/日)よりも優れていた。 著者らは「治療抵抗性うつ病の抑うつ症状軽減に対し、すべての標準用量の非定型抗精神病薬治療は有効であった。なかでも、リスペリドンとアリピプラゾールは、患者のQOL改善にベネフィットが認められた。ただし、非定型抗精神病薬の処方に際しては、副作用のエビデンスに十分配慮する必要がある」とまとめている。 ■関連記事 抗うつ薬が奏効しないうつ病患者への抗精神病薬追加投与は本当に有効か 精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効か 双極性障害への非定型抗精神病薬、選択基準は 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zhou X, et al. Int J Neuropsychopharmacol. 2015 May 25. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 中高年の慢性不眠症、太極拳は有効か/BMJ(2025/12/23) SGLT2阻害薬の投与により自己免疫性リウマチ性疾患の発症が抑制される?(解説:住谷哲氏)(2025/12/23) 日本人統合失調症患者における抗精神病薬の治療パターンと機能アウトカムとの関係(2025/12/23) ER+/HER2-進行乳がんへのimlunestrant、OS中間解析時点の最新データ(EMBER-3)/SABCS2025(2025/12/23) IgA腎症は0.5~1.0g/日の低レベル蛋白尿でも腎予後不良~メタ解析/慈恵医大(2025/12/23) 「まずは金属除去」ではない? 金属アレルギー診療と管理の手引きを公開/日本アレルギー学会(2025/12/23) 猛暑は高齢糖尿病患者にとって致命的となり得る(2025/12/23) 米国でアルファガル症候群による初の死亡例を確認(2025/12/23) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)