日本語でわかる最新の海外医学論文|page:539

ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2019 in 東京~【ご案内】

 2019年3月16日(土)に、大腸がん疾患啓発イベント「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと~」が開催される。同イベントは、大腸がんの診断・検査から外科的治療・薬物療法について広く知ってもらうことを目的に、国際的な大腸がん啓発月間である3月に毎年開催されている。会場は、東京医科歯科大学M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂で、予約申し込み不要・参加費無料。当日は、来場者全員にオリジナル冊子「もっと知ってほしい大腸がんのこと」が配布される。また、ブルーを身に着けて来場した方には粗品のプレゼントも用意されている。

脳卒中疑い、搬送中の経皮ニトロは有効か/Lancet

 脳卒中が疑われる患者に対する搬送中の経皮型ニトログリセリン(GTN)の投与は、機能的アウトカムを改善しないことが示された。死亡率や重大有害イベントの発生リスクも低減しなかった。英国・ノッティンガム大学のPhilip M. Bath氏らの研究グループ「The RIGHT-2 Investigators」が、1,100例超の被験者を対象に行った第III相のシャム対照無作為化試験の結果で、Lancet誌2019年2月6日号で発表した。ただし結果を踏まえて著者は、「英国救急隊員が搬送時の超急性期の場面で、脳卒中患者の同意を得て治療を行うことを否定するものではない」と述べている。高血圧は急性脳卒中によくみられ、不良なアウトカムの予測因子である。大規模な降圧試験でさまざまな結果が示されているが、超急性期の脳卒中に関する高血圧のマネジメントについては不明なままだった。

75歳超にもスタチン療法は有益か/Lancet

 スタチン療法は、年齢にかかわらず主要血管イベントを有意に抑制することが、28件の無作為化試験、被験者総数約19万例を対象にしたメタ解析の結果、明らかになった。閉塞性血管疾患の所見がすでにみられない75歳超の高齢者におけるベネフィットについては、直接的なエビデンスが不足していたが、その点に関して現在、さらなる試験が行われているという。オーストラリアの研究グループ「Cholesterol Treatment Trialists' Collaboration」が行った研究結果で、Lancet誌2019年2月2日号で発表された。スタチン療法は、さまざまな患者の主要血管イベントや血管死を抑制することが示されているが、高齢者における有効性および安全性は不確かである。研究グループは、年齢の違いによるスタチン療法の有効性を比較したすべての大規模スタチン試験からデータを集めてメタ解析を行った。

厳格な降圧でも認知症の増加はない(解説:桑島巖氏)-1004

厳格な降圧は認知症と関連するという懸念が一部にあったが、本試験の結果はそれを否定する科学的根拠を示した大規模臨床試験として貴重である。降圧目標値の120mmHgが従来目標の140mmHgに比して心血管イベント抑制効果が高いことを示した有名な米国SPRINT試験のサブ試験である。当初から認知症疑い(probable dementia)をエンドポイントに設定して施行したprospective studyであり、信頼性は高い。

脳卒中後の至適降圧目標は「130/80mmHg未満」か:日本発RESPECT試験・メタ解析

 脳卒中後の血圧管理は、PROGRESS研究後付解析から「低いほど再発リスクが減る」との報告がある一方、PRoFESS試験の後付解析は「Jカーブ」の存在を指摘しており、至適降圧目標は明らかでない。  この点を解明すべく欧州では中国と共同でESH-CHL-SHOT試験が行われているが、それに先駆け、2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)のLate Breaking Clinical Trialsセッション(7日)において、わが国で行われたRESPECT試験が、北川 一夫氏(東京女子医科大学・教授)によって報告された。

扁平上皮NSCLC1次治療における抗EGFR抗体necitumumabの効果/Lung Cancer

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)のほとんどには上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor、以下EGFR)が発現しており、腫瘍形成に関与している。抗EGFR抗体necitumumabは、第III相SQUIRE試験でゲムシタビン・シスプラチンとの併用(GC+N)で進行扁平上皮NSCLCの1次治療における全生存期間(OS)を改善した。しかし、この試験では日本人患者は含まれていない。わが国の同じ患者集団の1次治療におけるGC+N療法を評価した多施設共同非盲検第Ib/II相試験の結果がLung Cancer誌2019年3月号に報告された。

統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビュー

 ブレクスピプラゾールは、日本、米国、EU(成人患者対象)など、各国において統合失調症治療薬として承認されている、経口非定型抗精神病薬である。ニュージーランド・SpringerのJames E. Frampton氏は、統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビューを行った。Drugs誌オンライン版2019年1月22日号の報告。主なレビューは以下のとおり。・アリピプラゾールのように、ドパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用と、セロトニン5-HT2A受容体に対するアンタゴニスト作用を有する薬剤である。

C型肝炎撲滅、2030年の世界目標に向けた介入の有効性/Lancet

 直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral:DAA)の開発がもたらしたC型肝炎治療の大変革は、公衆衛生上の脅威としてのこの疾患の世界的な根絶に関して、国際的な関心を生み出した。これを受け2017年、世界保健機関(WHO)は、2030年までに根絶との目標を打ち出した。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlastair Heffernan氏らは、WHOのC型肝炎ウイルス(HCV)根絶目標について現状の達成状況を調査した。Lancet誌オンライン版2019年1月28日号掲載の報告。

減量に朝食摂取は本当に有効か/BMJ

 朝食の摂取は、その習慣の有無にかかわらず、体重減少の戦略としては有効とはいえない可能性があるとの研究結果が、オーストラリア・モナシュ大学のKatherine Sievert氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年1月30日号に掲載された。規則的な朝食の摂取は、低BMIと関連し、体重増加に対する防御因子であることが、多くの観察研究で示唆されている。一方、これまでに得られた朝食摂取に関する無作為化対照比較試験のエビデンスは、一貫性がないという。

無症候性の頸動脈高度狭窄例に対するCASで、CEAと転帰の差を認めず:CREST/ACTⅠメタ解析

 米国では、頸動脈インターベンションの最大の適応は無症候性の高度狭窄だという。しかし、米国脳卒中学会など関連14学会による2011年版ガイドラインでは、外科高リスク例を除き、無症候性頸動脈高度狭窄例に対しては、頸動脈ステント留置術(CAS)よりも頸動脈内膜剥離術(CEA)が推奨されている。しかし同ガイドライン策定後、CREST試験とACTI試験という2つの大規模ランダム化試験において、末梢塞栓保護下CASは、死亡・脳卒中・心筋梗塞抑制に関し、CEAに対する非劣性が示された。

アクリルネイルの流行で接触皮膚炎が急増

 (メタ)アクリレートは強力な感作性物質で、アレルギー性接触皮膚炎(ACD)の原因となるが、アクリルネイルの需要増に伴いACDの発症頻度が高まっている。これまで(メタ)アクリレートは、英国および欧州のbaseline patch test seriesで日常的に検査されていなかった。しかし、明らかな曝露歴のある患者に対する(メタ)アクリレートのパッチテストを予備検査として行った結果では、陽性率の高さが示唆されている。英国・Royal United HospitalのSophie Rolls氏らは、今回の検討結果から、英国のbaseline patch test seriesに2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)2%ワセリンの追加を推奨するとした。著者は、「短鎖(メタ)アクリレート系は(メタ)アクリレートアレルギー患者のほとんどで検出される傾向があるため、これらの標準化を推奨する」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年1月31日号掲載の報告。

FLAURA試験日本人サブセット、PFS19.1ヵ月/JJCO

 未治療のEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者においてオシメチニブと標準治療(ゲフィチニブまたはエルロチニブ)を比較した多施設二重盲検第III相FLAURA試験。全体ではオシメルチニブで有意に良好な無増悪生存期間(PFS)が示されたこの試験の日本人のサブセット解析がJapanese Journal of Clinical Oncology誌2019年1月1日号で発表された。

認知症のBPSDに対する治療の有効性・安全性比較~メタ解析

 認知症患者の行動と心理症状(BPSD)に対する薬理学的および非薬理学的治療の有効性、安全性を比較するため、中国・China Medical UniversityのBoru Jin氏らは、ランダム化データより直接的および間接的なエビデンスを用いて、検討を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2019年1月21日号の報告。  BPSDに利用可能なすべての介入のランダム化比較試験(RCT)のみを用いて、システマティックレビューおよびベイジアンネットワーク・メタ解析を行った。RCTは、PubMed、EMBASE、Cochrane library、CINAHLより検索した。有効性アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory(NPI)およびCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて評価した。安全性アウトカムは、全有害事象(AE)、下痢、めまい、頭痛、転倒、悪心、嘔吐、脳血管疾患について評価した。

TG低下とLDL-C低下、有益性はほぼ同等/JAMA

 アポリポ蛋白B(アポB)値の単位変化当たりのトリグリセライド(TG)値低下の臨床的有益性は、LDLコレステロール(LDL-C)値低下とほぼ同等であり、アポB含有リポ蛋白粒子の減少の絶対値と比例する可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年1月29日号に掲載された。TGとコレステロールは、いずれもアポB含有リポ蛋白粒子によって血漿中に運ばれる。血漿TG値の低下により、心血管イベントのリスクはLDL-C値の低下と同程度に低減するかとの疑問への確定的な回答は得られていないという。

関節リウマチ、3つのnon-TNF型生物学的製剤を比較/BMJ

 関節リウマチの成人患者の日常診療では、リツキシマブ(Bリンパ球枯渇薬)およびトシリズマブ(IL-6受容体阻害薬)が、アバタセプト(T細胞共刺激標的薬)に比べ2年アウトカムが良好であることが、フランス・ストラスブール大学病院のJacques-Eric Gottenberg氏らが実施した前向きコホート研究で示された。これら3つの非腫瘍壊死因子(non-TNF)型生物学的製剤はいずれも関節リウマチに、プラセボに比べ優れた効能を有すると報告されているが、これらを比較した無作為化対照比較試験はなく、今後も直接比較試験が行われる可能性はほとんどないという。BMJ誌2019年1月24日号掲載の報告。

アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用、日本人脳梗塞の出血リスクを増やさず再発抑制:CSPS.com試験

 虚血性脳血管障害に対する長期の抗血小板薬2剤併用は、脳卒中を抑制せず大出血リスクを増やすとされている。これは大規模試験MATCH、CHARISMAサブスタディ、SPS3で得られた知見に基づく。  しかし、これらのランダム化試験で検討されたのは、いずれもアスピリンとクロピドグレルの併用だった。ではCSPS 2試験においてアスピリンよりも出血リスクが有意に低かった、シロスタゾールを用いた併用ではどうだろう――。この問いに答えるべく、わが国で行われたのが、ランダム化非盲検試験CSPS.comである。その結果、アスピリン、クロピドグレル単剤に比べ、それらへのシロスタゾール併用は、重篤な出血リスクを増やすことなく、脳梗塞を有意に抑制することが明らかになった。2019年2月6~8日に、米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)初日のOpening Main Eventにおいて、豊田 一則氏(国立循環器病研究センター病院・副院長)が報告した。

うつ病に対する早期治療薬変更戦略の有効性予測因子

 抗うつ薬治療を2週間実施しても症状改善が認められないうつ病患者では、治療失敗リスクが高い。以前の研究において、ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのNadine Dreimuller氏らは、非改善うつ病患者において、通常治療(TAU)と早期治療薬変更(EMC)でアウトカムに差がないことを、ランダム化試験で報告していた。今回、EMC戦略における高い寛解率の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2019年1月14日号の報告。

発作性心房細動に対する第2世代クライオバルーンの長期成績【Dr.河田pick up】

 STOP AF PAS (Sustained Treatment of Paroxysmal Atrial Fibrillation Post-Approval Study)は、薬剤抵抗性の発作性心房細動に対するクライオバルーンの長期的な安全性と有効性を評価した、北米における最初の前向き、多施設共同の試験である。米国・ノースウェスタン大学のBradley P. Knight氏らのグループが、JACC.Clinical Electrophysiology誌2018年12月号オンライン版で発表した。

電子タバコは禁煙に役に立つか?(解説:桑島巖氏)-1003

最近は、タバコの代わりに電子タバコを使っているという人が多くなっている。禁煙の手法として、ニコチンの量を徐々に減らす「ニコチン代替療法」と電子タバコで禁煙を目指すという2つの方法がある。本研究はどちらの方法が1年後の禁煙率が高いかをランダム化試験で比較した論文である。このコメントの読者である多くの医療関係者は非喫煙者が多いと思われるので、少し電子タバコについての予備知識が必要であろう。普通のタバコは、煙を吸うのに対して、電子タバコは水蒸気を吸い込むという点が大きな違いである。したがってタバコの葉を燃やすことで生じる臭いや有害物質が発生しない点が利点とされる。