DA-EPOCH-R療法、原発性縦隔B細胞性リンパ腫に高い効果/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/19

 

 DA-EPOCH-R(用量調整エトポシド/ビンクリスチン/シクロホスファミド/ドキソルビシン/プレドニゾン+リツキシマブ)療法は、原発性縦隔B細胞性リンパ腫の治療として、放射線療法を行わなくとも高い治癒率をもたらすことが、米国国立がん研究所(NCI)のKieron Dunleavy氏らの検討で示された。原発性縦隔B細胞性リンパ腫はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のサブタイプで、結節硬化型ホジキン病と密接な関連を持ち、若年者に多く、巨大な縦隔腫瘤を形成する。標準治療は確立されておらず、免疫化学療法だけでは不十分なため縦隔への放射線照射による地固め療法がルーチン化しているが、遅発性の重篤な有害事象が懸念されるという。NEJM誌オンライン版2013年4月11日号掲載の報告。

前向き単群第II相試験を、その他の後ろ向き解析と比較
 研究グループは、原発性縦隔B細胞性リンパ腫の治癒率を改善し、放射線療法を不要にする治療戦略の開発を目的に、G-CSF(フィルグラスチム)併用下DA-EPOCH-R療法のプロスペクティブな単群第II相試験を実施した。

 未治療の原発性縦隔B細胞性リンパ腫に対し、フィルグラスチム投与下にDA-EPOCH-R療法を6コースまたは8コース施行した。4コースおよび6コース目の終了時に病変の評価を行った。4~6コース目に20%以上の減量を要した場合は8コースまで治療を継続し、この間の減量が20%以下の場合は6コースで治療を終了することとした。

 比較のために、スタンフォード大学医療センターの2007~2012年の診療記録の中から、放射線療法は施行されずにDA-EPOCH-R療法を受けた未治療の原発性縦隔B細胞性リンパ腫患者のデータを抽出し、レトロスペクティブな解析を行った。

放射線療法なしでEFS 93%、OS 97%を達成、リツキシマブ追加の効果も確認
 NCIの前向き第II相試験には、1999年11月~2012年8月までに51例(年齢中央値30歳、腫瘍径5~18cm、女性59%)が登録された。65%がbulky腫瘍(≧10cm)で、78%に乳酸脱水素酵素(LDH)上昇を認め、29%はStage IVであった。90%が6コースで治療を終了した。

 スタンフォードの後ろ向き試験には16例[年齢中央値33歳(p=0.04)、腫瘍径7~18cm、女性56%]が登録された。bulky腫瘍(56%)、LDH上昇(69%)、Stage IV(44%)の頻度はNCI第II相試験と同等であったが、節外病変が有意に少なかった(53 vs 19%、p=0.02)。

 NCI前向きコホートでは、フォローアップ期間中央値63ヵ月の時点で無イベント生存率(EFS)が93%、全生存率(OS)は97%であった。スタンフォード後ろ向きコホートでは、フォローアップ期間中央値37ヵ月におけるEFSは100%、OSも100%で、放射線治療を受けた患者はいなかった。

 遅発性の合併症や心毒性は観察されなかった。フォローアップ10ヵ月から14年までの間に、2例(4%)を除く全例がDA-EPOCH-R療法により完全寛解に到達した。非完全寛解の2例は放射線療法を受けフォローアップ期間中は無病状態が維持された(1例は後に急性骨髄性白血病で死亡)。

 なお、リツキシマブを併用しないDA-EPOCH療法の第II相試験(18例)では、フォローアップ期間中央値16年におけるEFSが67%、OSは78%であり、リツキシマブの追加によってEFS(p=0.007)、OS(p=0.01)が有意に改善することも確認された。

 著者は、「DA-EPOCH-R療法は、原発性縦隔B細胞性リンパ腫の治療において、放射線療法を必要とせずに高い治癒率をもたらす」と結論付けている。また、確定的なエビデンスを得るために、小児を対象とするDA-EPOCH-R療法の国際的な臨床試験がすでに開始されているという。

(菅野守:医学ライター)