脊椎手術研究の有害事象報告、4割にバイアス

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/13

 

 最近、企業主導型の脊椎手術研究における報告記事について、有害事象の報告に関する懸念が生じている。対策として独立した臨床事象判定委員会(CEC)による評価が行われることがあるが、これまで、有害事象の報告にどの程度研究者バイアスが存在しているか、CECがバイアス削減にどう影響するかを検討した報告はなかった。米国・アルバート・アインシュタイン医科大学のJoshua D Auerbach氏らは、脊柱管狭窄症および脊椎すべり症の治療に用いられるデバイスの臨床試験においてこの問題に取り組んだ。その結果、治験担当医が報告した有害事象の約4割がCECでは重症度や治療との関連性が高まるほうへ再判定されたことを明らかにした。著者は「治療デバイスの安全性の正確な評価を促すことから、臨床試験にはCECが必要である」とまとめている。Journal of Bone & Joint Surgery誌2013年8月21日の掲載報告。

 脊柱管狭窄症および脊椎すべり症患者を対象に、非固定式の脊椎インプラントであるcoflex(Paradigm Spine社)の有効性および安全性について、腰椎固定術と比較した前向き無作為化対照試験(治験用医療機器に対する適用免除試験として実施)が行われた。

 治験担当医による有害事象の重症度判定(軽度、中度、重度)ならびに手術/デバイスとの関連性判定(関係なし、たぶん関係なし、関係があるかもしれない、たぶん関係あり、明らかに関係あり)を、3人の脊椎外科医で構成される独立したCECにおいて再評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・CECにおいて、報告された有害事象1,055件中394件(37.3%)の判定が見直された。
・再判定された有害事象の割合は、coflex群と固定術群で類似していた(37.9% vs 36.0%、p=0.56)。
・再判定は、有害事象の重症度が上がる可能性が5.3倍高かった(95%信頼区間[CI]:2.6~10.7)。
・同様の傾向は、手術あるいはデバイスとの関連性においてもみられ、それぞれ7.3倍(95%CI:5.1~10.6)および11.6倍(同:7.5~18.8)であった。
・企業と治験担当医の経済的利害関係は、有害事象の再判定にほとんど影響しなかった。

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(ケアネット)