機械弁患者にはダビガトランよりワルファリン/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/13

 

 人工心臓弁置換術を行った人に対し、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)投与はワルファリン(同:ワーファリンほか)投与に比べ、血栓塞栓症・出血イベントリスクが増大することが明らかになった。カナダ・マックマスター大学のJohn W. Eikelboom氏らがダビガトラン用量検証のための第2相臨床試験を行った結果、報告した。ダビガトランは心房細動患者においてワルファリンに代わる選択肢になることが示されている。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。

被験者を2対1に無作為化、ダビガトランとワルファリンをそれぞれ投与
 研究グループは、3ヵ月以上前または7日以内に、大動脈弁または僧帽弁置換術を行った患者を対象に、ダビガトランの用量検証のための第2相臨床試験を行った。試験は10ヵ国39施設において被験者を無作為に2対1の割合で割り付け、ダビガトランとワルファリンをそれぞれ投与して行われた。

 ダビガトラン投与量については、被験者の腎機能に応じて、初期投与量150、220、300mgを、いずれも1日2回投与した。また、ダビガトラン投与量について血中濃度が50ng/mL以上になるよう調整した。ワルファリン投与量については、国際標準化比(INR)を血栓塞栓症リスクに応じて2~3、2.5~3.5となるよう調整した。

 主要エンドポイントは、ダビガトランのトラフ血漿中濃度だった。

ダビガトラン群の血栓塞栓症・出血イベントリスクが増大
 試験は、ダビガトラン群の血栓塞栓症と出血イベントが過剰に発生したことを受けて、被験者252例(ダビガトラン群168例、ワルファリン群84例)を登録後、早期中止となった。

 解析の結果、ダビガトラン群のうち用量調整や投与中止が必要だった人は、162例中52例(32%)だった。虚血性または不特定の脳卒中の発生は、ダビガトラン群9例(5%)に対し、ワルファリン群ではなかった。

 重大出血の発生は、ダビガトラン群7例(4%)に対し、ワルファリン群は2例(2%)だった(p=0.48)。なお重大出血を呈した両群の患者全員に、心膜出血が認められた。あらゆる出血の発生は、ダビガトラン群45例(27%)、ワルファリン群10例(12%)だった(ハザード比:2.45、95%信頼区間:1.23~4.86、p=0.01)。

 これらの結果を踏まえて著者は、「ダビガトランは、人工心臓弁置換術を受けた患者において、血栓塞栓症予防に関する有効性がワルファリンと同様ではなく、また出血リスクを増大することが示された」と結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)