日本語でわかる最新の海外医学論文|page:434

第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」を策定/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」を策定し、同学会のホームぺージで公開した。  本計画は、増加を続ける糖尿病患者の歯止めと診療の進歩への寄与などを盛り込んで、2004年より策定されているもの。第3次計画では、糖尿病予備群の数の減少、健康寿命の延伸、わが国独自の糖尿病の疫学・臨床データの蓄積、専門知識を持つさまざまな職種の人材の育成などが予測される成果として標榜され、検証されている。

ペムブロリズマブ+化学療法、食道がん1次治療で生存改善(KEYNOTE-590)/Merck

 Merck社は、2020年8月19日、局所進行または転移のある食道がん患者の1次治療に対する第III相KEYNOTE-590試験において、ペムブロリズマブと化学療法の併用が主要評価項目を達成したと発表。  同試験の中間解析では、ペムブロリズマブと化学療法(シスプラチン+5-FU)の併用は、化学療法(同)と比較して、OSおよびPFSを統計的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。また、主要副次評価項目である客観的奏効率(ORR)も有意に改善したとしている。試験の結果は、欧州腫瘍学会(ESMO)2020Virtual Congressで発表される予定。

妊婦の定期健診とSARS-CoV-2感染リスクの相関は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時に懸念されたことの1つに、患者の受診自粛がある。しかし、医療機関を訪れることが感染リスクにどう影響するかについては、十分に明らかになっていない。本研究は、米国・Brigham and Women's HospitalのSharon C. Reale氏らの研究チームが、コロナパンデミックの中にあっても定期的な診察が必要だった妊婦を対象に、受診回数がSARS-CoV-2感染のリスクと関連しているかどうかを検証した。JAMA誌オンライン版2020年8月14日号リサーチレターでの報告。  本研究の対象は、2020年4月19日~6月27日(産科患者全員が入院時にSARS-CoV-2のRT-PCR検査を実施した期間)にマサチューセッツ州ボストンの4つの医療機関で出産した2,968例。

治療抵抗性精神疾患治療のための3次医療サービスの有効性

 治療抵抗性統合失調症は、2次医療機関における疾患マネジメントが困難な場合が多い疾患の1つである。再入院や長期介護費用などのリスクを軽減するため、複雑な治療抵抗性精神疾患に対しエビデンスに基づき個別で、集学的な医療を提供する専門の3次医療機関として英国精神疾患ユニット(National Psychosis Unit:NPU)がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのCecilia Casetta氏らは、NPUでの治療の長期的な有効性を自然主義的なアウトカムを検討することにより評価した。BJPsych Open誌2020年8月3日号の報告。  精神科病床と一般病床の入院回数、入院日数、緊急度、NPU入院前後に処方された向精神薬の数と抗精神病薬の用量について、ミラーイメージデザインを用いて比較した。CRISシステム、South London and Maudsley NHS Trustデータベース、HESシステムを用いてデータを収集した。

心房細動と超過死亡の関連、45年の長期分析の結果は/BMJ

 心房細動と全死因死亡との関連について、時間的傾向は見いだせないことが、デンマーク・オーフス大学のNicklas Vinter氏らによる検討で明らかにされた。フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study:FHS)の被験者を対象に45年間の関連傾向を分析した結果によるもので、心房細動診断後10年時点での心房細動による平均喪失寿命年数は顕著に改善していたが、心房細動を診断されていない被験者との間には、なお2年間のギャップが残存し続けていることも示された。新規診断の心房細動は死亡ハザード比を増大する。一方で心房細動患者における短期および長期の生存確率が経時的には改善していることが報告されていた。BMJ誌2020年8月11日号掲載の報告。

T-DM1、HER2陽性早期乳がんの術後薬物療法に適応追加/中外製薬

 中外製薬は、抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体トラスツズマブ エムタンシン(商品名:カドサイラ、以下T-DM1)について、「HER2陽性の乳癌における術後薬物療法」に対する適応追加の承認を8月21日に取得したことを発表した。手術前の薬物療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったHER2陽性早期乳がんに対して、術後薬物療法の新たな選択肢となる。  今回のT-DM1の承認は、海外で実施された非盲検ランダム化第III相国際共同臨床試験(KATHERINE試験)の成績に基づく。本試験では、トラスツズマブを含む術前薬物療法でpCRが得られなかったHER2陽性早期乳がん1,486例を対象に、術後薬物療法としてのT-DM1の有効性と安全性をトラスツズマブと比較した。その結果、主要評価項目である浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)について、トラスツズマブに対するT-DM1の優越性が認められた(非層別ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.39~0.64、p<0.0001)。また、本試験におけるT-DM1の安全性は、転移を有するHER2陽性乳がんにおける治療で認められている安全性プロファイルと同様であり、忍容性が認められた。

デュルバルマブ、進展型小細胞肺がんに国内適応拡大/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2020年8月21日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について、化学療法(エトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法で、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)を適応症に厚生労働省より承認を取得したと発表。  デュルバルマブに対する今回の承認は、デュルバルマブと化学療法との併用療法が、化学療法単独との比較において、統計学的に有意で臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した第III相CASPIAN試験の結果に基づいている。

COVID-19、第1波・第2波の特徴と転帰を比較/JAMA

 COVID-19感染流行において、初期と2度目の流行では、患者の属性や臨床的症状、転帰に違いはあるのか。Center for Outcomes Research(米国・ヒューストン)のFarhaan S. Vahidy氏らによる分析が、JAMA誌オンライン版2020年8月13日号のリサーチレターで報告されている。  著者らは、テキサス州ヒューストンの8病院が使うヘルスケアシステム・Houston Methodistの電子カルテから、PCR検査で陽性となったCOVID-19重症患者を抽出したうえで、年齢、性別、人種/民族、併存症、投薬、ICU入院、死亡率を分析した。第1波は2020年3月13日~5月15日、第2波は5月16日~7月7日までとした。2020年7月7日時点におけるCOVID-19の入院患者のユニーク数は2,904例、第1波が774例、第1波が2,130例だった。

レビー小体型認知症が疑われる患者の初期症状と診断時の特徴

 レビー小体型認知症(DLB)は、さまざまな初期症状がみられるが、多くのDLBの症例に焦点を当てた報告は、これまでほとんどなかった。北海道・砂川市立病院の内海 久美子氏らは、診断時にDLBおよびDLB関連症状が認められた患者234例を対象に、初期症状をレトロスペクティブに評価し、症状プロファイルの性差について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2020年8月2日号の報告。  対象は、2017年に改訂されたDLBの臨床診断に関するコンセンサス基準を満たした、DLBの可能性の高い患者234例。DLBは、ドパミントランスポーターシンチグラフィと123 I-MIBG心筋シンチグラフィで確認した。脳灌流は、SPECTを用いて測定した。これらに加えて、中心および補助的な臨床的特徴を考慮した。

超低出生体重児輸血戦略、非制限vs.制限/JAMA

 1,000g未満の超低出生体重児において、非制限輸血は制限輸血と比較して、補正年齢24ヵ月時点の死亡または障害発生の確率を抑制しなかった。ドイツ・テュービンゲン大学病院小児科部門のAxel R. Franz氏らが、欧州36施設・1,013例の新生児を対象とした無作為化試験「ETTNO試験」の結果を報告した。超低出生体重児には赤血球輸血治療が行われるが、エビデンスに基づいた輸血閾値は確定されていない。先行研究では、制限輸血を受けた新生児で認知障害の発生率が高いことが示されていた。JAMA誌2020年8月11日号掲載の報告。

セロクエルとセロクラールとの取り違えに注意

 アステラス製薬とサノフィは、2020年8月、「セロクエル(一般名:クエチアピンフマル酸塩):抗精神病剤」(製造販売:アステラス製薬)と「セロクラール(一般名:イフェンプロジル酒石酸塩):脳循環代謝改善薬」(製造販売元:サノフィ、販売元:日医工、販売提携:日医工サノフィ)について、これらを処方・調剤する際には薬効および販売名を今一度確認すること、また処方オーダーシステムを使用する場合は入力後の内容確認、アラートを表示させるなどの薬剤の選択ミス防止策を検討するよう注意喚起を行った。

COVID-19対策のうがいは是か非か

 8月上旬、大阪府知事の吉村 洋文氏は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策にうがい薬ポビドンヨード液を推奨する緊急記者会見を開いた。この会見の報道を受け、うがいは新型コロナ感染症対策として優先順位は低いなどと発言する一部の専門家もいたが、やはり口腔ケアは感染症対策として重要なのではないだろうかー。2020年8月5日に開催された第2回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナーで、阪井 丘芳氏(大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能治療学教室教授)が「COVID-19と唾液腺~重症化予防のための新たな口腔ケア」について講演し、口腔の衛生管理の重要性について語った。

統合失調症に対する気分安定薬の処方状況~国際的研究

 精神疾患に対する抗精神病薬と気分安定薬の処方状況や投与量を調査した研究は、これまであまりなかった。シンガポール・精神衛生研究所のWai Kwong Lim氏らは、限られた既存のデータと臨床経験に基づき、補助的な気分安定薬の使用と人口統計(年齢など)、臨床的要因(罹病期間など)、抗精神病薬治療の特徴(併用や高用量など)との関連について調査を行った。Human Psychopharmacology誌オンライン版2020年8月1日号の報告。  本研究は、統合失調症の薬物疫学的要因に焦点を当てたアジアリサーチコンソーシアム内で実施された。気分安定薬の併用率や高用量(リチウム換算量1,000mg/日超)、臨床相関などを評価した。

高加入度数コンタクトレンズ、小児の近視進行を抑制/JAMA

 近視の小児では、高加入度数の多焦点コンタクトレンズを用いた3年間の治療により、中加入度数の多焦点コンタクトレンズや単焦点コンタクトレンズと比較して、近視の進行が緩徐化され、眼軸長伸展が抑制されることが、米国・オハイオ州立大学のJeffrey J. Walline氏らが行ったBLINK試験で示された。研究の成果はJAMA誌2020年8月11日号に掲載された。2016年の報告では、世界の近視の有病率は、2000年からの50年間に23%から54%に、高度な近視の有病率は3%から10%にまで増加すると推定されている。また、近視は、視力を脅かす合併症(白内障、網膜剥離、緑内障、脈絡膜萎縮症など)と関連するが、その進行を緩徐化することで、これらの合併症のリスクが低減する可能性があるという。

浮腫による蜂窩織炎の再発予防、圧迫療法は有効か/NEJM

 下肢の慢性浮腫による蜂窩織炎がみられる患者の予防治療において、圧迫療法は保存的治療に比べ、蜂窩織炎の再発率が低く、蜂窩織炎による入院も抑制される傾向がみられることが、オーストラリア・Calvary Public Hospital BruceのElizabeth Webb氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年8月13日号に掲載された。下肢慢性浮腫は、蜂窩織炎のリスク因子とされる。蜂窩織炎の再発予防には、下肢の着圧衣類(弾性ストッキングなど)の日常的な使用が推奨されているが、その効果に関する臨床試験のエビデンスは乏しいという。  研究グループは、下肢の蜂窩織炎の予防における圧迫療法の有用性を評価する目的で、単一施設での非盲検無作為化試験を実施した(Calvary Public Hospital Bruceの助成による)。

双極性障害の早期発症や治療開始遅延がその後の治療効果に及ぼす影響

 双極性障害の治療アウトカム不良のリスク因子として、早期発症と初回治療開始の遅延の両方がエビデンスで報告されている。米国および欧州の双極性障害患者における、これら2つのリスク因子の発生率とその影響について、米国・ジョージ・ワシントン大学のRobert M. Post氏らが調査を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年7月3日号の報告。  本研究の参加についてインフォームドコンセントを行い、詳細なアンケートに回答した双極性障害の外来患者967例を対象に、うつ症状または躁症状の発症年齢および初回治療時の年齢を評価した。発症年齢および初回治療開始の遅延について、米国の675例と、オランダおよびドイツ(欧州)の292例を比較し分析を行った。

新型コロナ、前立腺がん患者でアンドロゲン除去療法が感染を抑制か

 イタリアで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により最も影響を受けた州の1つであるヴェネト州における集団ベースの研究で、アンドロゲン除去療法(ADT)を受けている前立腺がん患者ではSARS-CoV-2感染が抑制された可能性が示唆された。イタリア・パドヴァ大学のM. Montopoli氏らが報告した。Annals of Oncology誌2020年8月号に掲載。  SARS-CoV-2は、ウイルスのスパイク(S)蛋白であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2への結合とTMPRSS2によるS蛋白のプライミングにより細胞に侵入する。そのため、TMPRSS2を阻害すれば、SARS-CoV-2感染を阻害または軽減する可能性がある。

未治療AML、アザシチジン+ベネトクラクス併用でOS延長/NEJM

 強力な化学療法が適応とならない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者において、アザシチジン+ベネトクラクス併用療法はアザシチジン単独投与と比較して、発熱性好中球減少症の発現率は高かったものの、全生存期間および寛解率の有意な改善を達成したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのCourtney D. DiNardo氏らによる多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「VIALE-A試験」で明らかとなった。高齢のAML患者は、メチル化阻害剤による治療でも予後不良であり、第Ib相試験においてアザシチジン+ベネトクラクス併用療法の有効性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月13日号掲載の報告。

ズレが2mm以下の舟状骨腰部骨折、ギブス固定vs.外科的固定/Lancet

 手の舟状骨腰部骨折でズレが2mm以下の成人患者では、最初にギプス固定を行い、偽関節が疑われる場合には確認してただちに手術で固定すべきであることが示された。英国・Leicester General HospitalのJoseph J. Dias氏らが、外科的固定とギプス固定の臨床効果を比較検証した実用的な多施設共同無作為化非盲検優越性試験「SWIFFT試験」の結果を報告した。舟状骨骨折は、手根骨骨折の90%を占め、主に若年男性に発生するが、非外科的治療に比べアウトカムを改善するという十分なエビデンスがないにもかかわらず、ただちに外科的固定術を行う治療が増えていた。著者は、「最初にギプス固定を行う治療戦略により、手術のリスクを回避でき、手術は骨癒合に失敗した骨折の修復に制限できる」とまとめている。Lancet誌2020年8月8日号掲載の報告。

前立腺がん、診断後の肥満は死亡リスクと関連/JCO

 前立腺がん診断後の肥満は、死亡リスクと関連するのか。これまで明らかにされていなかったが、米国・エモリー大学のAlyssa N. Troeschel氏らは大規模コホート研究の結果、限局性前立腺がんなど転移の伴わない前立腺がんの生存者では、診断後の肥満(BMI値30以上)は心血管疾患関連死(CVDM)および全死因死亡の発生頻度が高く、前立腺がん特異的死亡(PCSM)も高まる可能性があることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「診断後の体重増加は、すべての原因および前立腺がんの結果として、より高い死亡率と関連している可能性がある」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌2020年6月20日号掲載の報告。