脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:91

認知症と自殺との関係

 認知症と診断された患者における自殺念慮の存在、促進因子、保護因子について、英国・プリマス大学のGary Hodge氏が、文献レビューおよびデータ統合を行った。本レビューでは、どのような因子が自殺念慮のリスク上昇に影響を及ぼすかを考慮し、認知症での死亡を議論する際、選択の道徳性と倫理性への反映を試みた。Dementia(London, England)誌オンライン版2018年9月14日号の報告。

禁煙に伴う体重増加は糖尿病の短期リスクを増やすも心血管病死・全病因死亡に影響なし!(解説:島田俊夫氏)-925

紙巻きタバコが体に悪いことは昔からよく知られているけれど、耳を傾けようとしない無関心な方々が数多く見受けられます。もちろんタバコは本人にとって有害であるだけでなく、身辺にいる家族を含め、被害を被る人たちが多数いることを顧みて一日も早く禁煙することを勧めます。“タバコは万病の元”という言葉は、本当にタバコの持つ有害性を端的に表しています。私は患者さんに診療時、“タバコは百害あって一利なし”という言葉を使い、説明させてもらっています。多くの方は耳を傾けてくれますが、残念ながらタバコの真の怖さを十分に理解してもらえていないと感じています。「タバコはお金もかかり、あらゆる病気にかかりやすく、タバコに火をつけて燃やせば燃やすほど、あなたの命のロウソク(ロウソク寿命)を短くする貧乏神のようなものです」と話すと、「タバコを吸うとストレスが緩和できる」といった得手勝手なこじつけの類の言い訳が時折返ってきます。これまで禁煙と体重増加を取り上げた論文1)は散見されますが、禁煙に伴う体重増加を心血管死亡、全病因死亡に関連付けた信憑性の高い研究はほとんどありません。

健康高齢者への低用量アスピリン、無障害生存期間を延長せず/NEJM

 健康な高齢者に対する低用量アスピリン投与は、プラセボ投与と比較して、無障害生存期間を延長することはなく、大出血の頻度を増加することが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らが、米国およびオーストラリアの計50施設にて約2万例を対象に実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ASPREE試験」の結果を報告した。本試験は、主要評価項目に関してアスピリンの使用継続が有益ではないことが認められたため、追跡期間中央値4.7年で早期終了となっている。アスピリンの医学的適応がない高齢者において、低用量アスピリンの使用が増加しているが、健康な高齢者の健康寿命を延ばすためのアスピリン使用に関する情報は限定的であった。NEJM誌オンライン版2018年9月16日号掲載の報告。

健康な高齢者へのアスピリンのCVD1次予防効果は?/NEJM

 健康な高齢者への1次予防戦略としての低用量アスピリンの使用は、プラセボと比較して、大出血リスクを有意に増大し、心血管疾患リスクを有意に減少しないことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループによる、米国とオーストラリアに住む高齢者1万9,114例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で発表された。アスピリン治療では、心血管疾患の2次予防効果は確立されている。しかし、その1次予防効果は明確になっておらず、とくに同疾患リスクが高い高齢者において不明であった。

アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM

 毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループが、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で報告した。本研究の初回解析では、アスピリンの毎日使用は、主要エンドポイントである無障害生存(disability-free survival)に関して便益をもたらさなかった。また、アスピリン使用者は、副次エンドポイントである全死因死亡率も高かったという。

急性脳梗塞、rt-PA後の転帰を予測する臨床・画像所見は/JAMA

 急性虚血性脳卒中患者において、血栓部位がより末梢で、残存血流量が多く、再開通評価までの時間が長いほうが、アルテプラーゼ(rt-PA)静脈投与後の動脈閉塞再開通と関連することが確認された。rt-PAの投与を受けていない患者では、動脈再開通率は低値であった。カナダ・カルガリー大学のBijoy K. Menon氏らによる、多施設共同前向きコホート研究「INTERRSeCT研究」の結果で、著者は「これらの結果は、急性虚血性脳卒中患者の治療とトリアージの際に役立つ可能性がある」と述べている。脳血栓の再開通は急性虚血性脳卒中患者の臨床転帰の改善と関連しており、rt-PA静注療法と血栓特性、再開通時間との関連は脳卒中トリアージと今後の研究デザインにとって重要であるが、rt-PA静注療法による再開通率を検証したこれまでの研究は、症例数や試験デザイン、評価法などに限界があった。JAMA誌2018年9月11日号掲載の報告。

乳製品摂取増加が死亡・心血管リスク低下と関連/Lancet

 低・中所得国21ヵ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、乳製品の摂取が、死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連することが明らかにされた。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。全脂肪乳製品は飽和脂肪の源であり、血液脂質に悪影響を与え、心血管疾患や死亡を増大すると思われているが、この懸念に関するエビデンスは弱く、また、これまで低所得国および中所得国の健康への乳製品消費の影響に関するデータはほとんど入手できていなかったという。

『減塩パラドックス』Revisit! Populationか、Communityか、Individualか?(解説:石上友章氏)-920

カナダ・マックマスター大学のAndrew Mente氏らの論文。PURE試験の臨床アウトカムと、推定食塩摂取量・推定カリウム摂取量との関連を解析した研究である。食塩の過剰摂取は、高血圧のリスクになり、ひいては心血管イベントのリスクになると信じられているが、本試験の結果は必ずしも定説を支持するものではなかった。顧みれば、本連載(90)の否定された『減塩パラドックス』―降圧の基本は、やはり減塩。での議論が、再び蒸し返されるような事態になるかもしれない。

日本人高齢者のライフスタイル活動と認知症リスク

 高齢化や慢性疾患状態の増加に伴い、認知症の有病率は上昇している。国立長寿医療研究センターの島田 裕之氏らは、日本の地域在住の高齢者における、日常生活や社会的役割を含むライフスタイル活動と認知症発症との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2018年8月21日号の報告。