うつ病リスクに影響を及ぼす食事パターン、男女や年齢で違いがあるか?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/06/03

 

 食生活パターンは、うつ病リスクと関連している可能性がある。男女間および年齢層別の食生活パターンの違いは報告されているものの、うつ病リスクへの影響はこれまで十分に検討されていなかった。フランス・マルセイユ大学のYannis Achour氏らは、性別および年齢層における食生活パターンとうつ病リスクとの関連性を調査し、ターゲットを絞った予防および介入戦略に役立てるため、脆弱な集団を特定することを目指し、本研究を実施した。Nutrients誌2025年5月4日号の報告。

 2021〜23年に横断的オンライン国際調査ALIMENTAK研究として実施された。食生活データは検証済み食品摂取頻度質問票、うつ病データは検証済み自己申告質問票を用いて収集した。主要成分分析(PCA)を用いて、異なる食品摂取パターンを特定した。さらに食生活パターンとうつ病との関連性を評価するため、複数の潜在的な交絡因子で調整したのち、多変量解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・慢性疾患でないまたは現在向精神薬治療を行っていない参加者1万5,262人のうち、4,923人(32.2%)がうつ病群に分類された。
・18〜34歳の参加者において、超加工食品摂取は、男女とも同様に、うつ病リスク上昇との関連が認められた。
・18〜34歳の女性では、炭酸飲料および缶詰/冷凍食品は、うつ病リスク上昇と関連していた。
●18〜34歳
【超加工食品】女性のオッズ比(OR):1.21(95%信頼区間[CI]:1.15〜1.27)、男性のOR:1.21(95%CI:1.07〜1.18)
【炭酸飲料】女性の調整OR:1.10(95%CI:1.06〜1.95)
【缶詰/冷凍食品】女性の調整OR:1.10(95%CI:1.04〜1.15)

・35〜54歳および55歳以上の参加者において、女性でのみ超加工食品とうつ病リスクとの関連が認められた。
・果物、ナッツ、緑黄色野菜などの健康的な食事とうつ病リスク低下との間に有意な関連が認められた。
●35〜54歳
【超加工食品】女性の調整OR:1.30(95%CI:1.20〜1.42)
【健康的な食事(果物、ナッツ、緑黄色野菜)】調整OR:0.82(95%CI:0.75〜0.89)
●55歳以上
【超加工食品】女性の調整OR:1.41(95%CI:1.11〜1.79)
【健康的な食事(果物、ナッツ、緑黄色野菜)】調整OR:0.79(95%CI:0.64〜0.97)

 著者らは「食生活パターンとうつ病リスクとの関連性は、男女間および年齢層間で有意な差があることが明らかとなった。これらの知見は、公衆衛生介入のより明確なターゲティングに役立つ可能性がある」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)