内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:180

骨粗鬆症患者の2型DM発症リスク、デノスマブvs 経口ビスホスホネート製剤/BMJ

 骨粗鬆症患者において、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤デノスマブの投与は経口ビスホスホネート製剤を投与した場合と比較して2型糖尿病(DM)の発症リスクが32%低下したことが、中国・The Chinese PLA General HospitalのHouchen Lyu氏らによるコホート研究で示された。2型DMのリスクが高い前糖尿病状態または肥満の患者では、デノスマブにより糖尿病発症リスクはさらに低下することも示唆され、著者は、「本研究は、デノスマブが経口ビスホスホネート製剤と比較し、糖代謝に対して付加的な有益性をもたらすというエビデンスを示している」とまとめている。これまで、観察研究や無作為化臨床試験の事後解析において、血糖変動に対するデノスマブの効果が示唆されていたが、デノスマブが2型DMのリスクを減少させるかどうかは明らかになっていなかった。BMJ誌2023年4月18日号掲載の報告。

うつ病に対する遠隔医療介入の有用性~メタ解析

 うつ病患者の抑うつ症状、QOL、仕事や社会的機能に対する遠隔医療介入の治療効果を明らかにするため、台湾・亜洲大学のYin-Hwa Shih氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、遠隔医療介入はうつ病患者の抑うつ症状の軽減やQOL向上に効果的であることが報告された。Annals of Medicine誌2023年12月号の報告。  2021年3月までに公表された文献を、6つの電子データベース(MEDLINE、PubMed、PsycINFO、Scopus、Embase、CINAHL)でシステマティックに検索した。各文献のリファレンスリストは手動で検索した。対象は、うつ病と診断された患者の遠隔医療介入の治療効果を調査したランダム化比較試験。質的評価には、Joanna Briggs Instituteのチェックリストを用いた。

2型DM患者、砂糖入り飲料多飲で死亡リスク2割増/BMJ

 2型糖尿病(DM)患者における飲料別の全死因死亡および心血管疾患(CVD)アウトカムとの関連が明らかにされた。砂糖入り飲料の多量摂取が全死因死亡およびCVDの発症・死亡と関連する一方で、コーヒー・紅茶・淡水・低脂肪乳の摂取は、摂取量と全死因死亡が逆相関であるという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のLe Ma氏らが、2つの大規模前向きコホート試験、Nurses' Health StudyとHealth Professionals Follow-Up Studyの解析結果を報告した。著者は、「示された結果は、成人2型DM患者におけるCVDおよび早期死亡のリスクを管理するうえで、飲料の健康的な選択が果たす潜在的な役割を強調するものであった」とまとめている。BMJ誌2023年4月19日号掲載の報告。

腎臓のリスクを上げない飲酒量は?

 アルコールと疾患に関して過去のコホート研究では、アルコール摂取とタンパク尿と糸球体濾過量(GFR)低下を特徴とする慢性腎臓病との間に相反する関連性が報告されている。ただ、大量飲酒が腎臓に及ぼす影響を評価した研究は少なく、これまで一定の見解が得られていなかった。そこで山本 陵平氏(大阪大学 キャンパスライフ健康支援・相談センター)らの研究グループは、これまでに報告された疫学研究の結果を統合し、アルコール摂取量と腎臓病リスクの関係を解析した。その結果、1日60g程度(日本酒約3合)以上のアルコール摂取はタンパク尿リスクとなることを明らかにした。Nutrients誌2023年3月25日号に掲載。

ミトコンドリアはアルツハイマー病の予防や治療の新たな扉を開くか

 アルツハイマー病リスクが高い人の特定は、予後や早期介入に重要である。縦断的な疫学研究では、脳の不均一性と加齢による認知機能低下が観察されている。また、脳の回復力は、予想以上の認知機能として説明されてきた。この「回復力(resilience)」の構造は遺伝的要因や年齢などの個人的特性と相関することが示唆されている。さらに、アルツハイマー病の病因とミトコンドリアの関連がこれまでのエビデンスで確認されているが、遺伝学的指標(とくにミトコンドリア関連遺伝子座)を通じて脳の回復力を評価することは難しかった。

地域医療提供者による集中的な血圧介入は有用か?(解説:三浦伸一郎氏)

わが国の高血圧有病者は4,300万人であり、治療中・コントロール良好な患者はわずか27%である一方、未治療・認知なしが33%、未治療・認知ありは11%も存在し、いまだに十分な心血管疾患の発症抑制にはつながっていないのが現状である。わが国は世界的に見ても、国民皆保険制度が確立し医師数も比較的多いが、医療制度が未熟な国々は多く存在し医師数も不足している。そのような国々では、医師以外の地域医療提供者の存在が欠かせない。

コロナ5類化、もう不要だと思う感染対策は?/医師1,000人アンケート

 5月8日より、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行となり、今後の感染対策は個人の判断に委ねられるものが増える。今後も必要、または、もう不要だと思う感染対策、5類移行に伴い懸念していること、新型コロナが収束したと思える状況などについて、会員医師1,000人を対象に『新型コロナ5類移行に伴う感染対策、まだ必要・やめてもよいと思うものアンケート』を4月10日に実施した。なお、本アンケートは、東京iCDC(東京感染症対策センター)リスコミチームによって実施された都民アンケート調査1)を参考に作成した。

最適な降圧薬は人によって異なるのか/JAMA

 高血圧患者における最適な降圧療法は個人によって異なるか、個別に目標を定めた降圧療法は有益性を最大化できるかという問いには、いまだ明確な解答は得られていないという。スウェーデン・ウプサラ大学のJohan Sundstrom氏らは「PHYSIC試験」において、高血圧に対する4つの異なるクラスの降圧薬による単剤療法の血圧反応にはかなりの異質性があり、これは高血圧治療における個別化治療の進展の可能性を示唆するものであることを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年4月11日号に掲載された。

過去のSARS-CoV-2感染に伴う再感染に対する防御効果:系統的レビューとメタアナリシス(解説:寺田教彦氏)

本研究は、2022年9月31日まで(原文ママ)に報告されたプレプリントを含む、後ろ向きコホート研究、前向きコホート研究および検査陰性症例対照研究の中で、SARS-CoV-2罹患歴の有無によるCOVID-19感染のリスクを比較した研究を特定し、システマティックレビューおよびメタ解析を行っている。結果の要約は、「コロナ感染による免疫、変異株ごとの効果は~メタ解析/Lancet」で紹介されているが、簡潔に研究結果をまとめると、「再感染や症候性再感染は、初期株、アルファ株、ベータ株、デルタ株に対しては高い予防効果を示したが、オミクロンBA.1株では再感染や症候性再感染の予防効果が低かった。ただし、重症化予防効果については、既感染1年後までアルファ株、ベータ株、デルタ株、オミクロンBA.1株のいずれも維持していた」と筆者は論じている。

作り笑いの「笑いヨガ」で糖尿病を改善~日本人でのRCT

 笑いには、ストレス軽減、NK細胞の活性化、アレルギー反応抑制、食後血糖値の上昇抑制などが報告されている。しかし、お笑い番組は人により好みが異なるため、すべての人を笑わせることは難しい。今回、福島県立医科大学の広崎 真弓氏らの無作為化比較研究の結果、作り笑いと深呼吸を組み合わせた「笑いヨガ」で2型糖尿病患者の血糖コントロールが改善されることが示された。Frontiers in Endocrinology誌2023年3月31日号に掲載。