内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:178

2型糖尿病の薬物療法で最適な追加オプションは?(解説:小川大輔氏)

GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬の登場により、近年2型糖尿病の薬物療法が大きく変わった。既存の糖尿病治療薬では認められなかった、心血管イベントや腎不全を抑制する効果が数多く報告されたからだ。さまざまな糖尿病治療薬の中からどの薬剤を選択するか、その判断の一助になるネットワークメタ解析の論文がBMJ誌に発表された。この論文の背景として、2年前の2021年に同じBMJ誌に掲載された論文について少し触れたい。この当時すでにGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬のエビデンスは集積しており、これら2製剤がこれまでの糖尿病治療薬と比較して全死亡、心血管死、非致死的心筋梗塞、腎不全、体重減少などのベネフィットがあることがネットワークメタ解析により明らかになった。

採血時間が入院患者の睡眠不足に影響か

 早朝の採血は入院患者の睡眠に有害な影響を与えるが、それは依然として一般的な医療行為として行われている。そこで米国・イェール・ニューヘブン病院のCesar Caraballo氏らは、早朝採血の実施割合を調査したところ、午前4:00~6:59までの時間帯に最も行われ、採血の10分の4近くを占めていたことが明らかになった。ただし、本研究の終盤には採血時間がわずかだが遅くなっていた。JAMA誌オンライン版2023年1月17日号のリサーチレターでの報告。

医療者へのBCGワクチン、新型コロナの予防効果なし/NEJM

 オーストラリア・メルボルン大学のLaure F. Pittet氏らが、オーストラリア、オランダ、スペイン、英国およびブラジルで実施した医療従事者を対象とする無作為化二重盲検プラセボ対照試験「BCG Vaccination to Reduce the Impact of COVID-19 in Healthcare Workers:BRACE試験」の結果をプラセボと比較すると、BCGワクチン接種による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスク低下は認められなかった。BCGワクチンには、免疫調節のオフターゲット効果があり、COVID-19に対する保護作用があると仮定されていた。NEJM誌2023年4月27日号掲載の報告。

糖質過剰摂取は糖尿病患者のみならず万人にとって生活習慣病リスクを高める危険性がある?―(解説:島田俊夫氏)

私たちは生きるために食物を食べることでエネルギーを獲得している。その主要なエネルギー源は3大栄養素であり、その中でも代表的なエネルギー源が糖質である。糖質の摂り過ぎは糖尿病患者では禁忌だということは周知されている。しかし健康人においてさえ、糖の摂り過ぎには注意が必要だとの警鐘を告げる論文も散見され、その中には糖質過剰摂取が3大死因に密接に関連し、生活習慣病を引き起こす可能性について言及した論文も少なくない。

コロナ罹患後症状、睡眠障害が長期持続/日本呼吸器学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患後、長期にわたって症状が残存する患者が存在する。症状はさまざまであるが、その中の1つとして睡眠障害が挙げられている。そこで、中等症以上のCOVID-19患者を日本全国55施設で追跡した「COVID-19後遺障害に関する実態調査(中等症以上対象)」において、睡眠障害の実態が検討された。その結果、中等症以上のCOVID-19患者の睡眠障害が遷延していることが明らかになった。2023年4月28~30日に開催された第63回呼吸器学会学術集会において、佐藤 晋氏(京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座 特定准教授)が発表した。

コロナとインフルの死亡リスク、最新研究では差が縮まる

 COVID-19を季節性インフルエンザと比較した場合、死亡リスクの差はどのくらいか。COVID-19パンデミックの初年度、米国の2つの研究では、COVID-19で入院した人は、季節性インフルエンザで入院した人と比べ、30日死亡リスクが約5倍になることが示唆されている。その後、COVID-19の臨床ケア、集団免疫など、多くの変化があり、この数字は変化した可能性がある。

モルヌピラビル、高リスクコロナ患者の後遺症リスク低減/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染し、重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に進行する危険因子を少なくとも1つ有する患者において、感染後5日以内のモルヌピラビル投与は無治療と比較し、ワクチン接種歴や感染歴にかかわらず、急性期以降の罹患後症状(いわゆる後遺症)(post-acute sequelae of SARS-CoV-2:PASC)のリスク低下と関連していた。米国・VA Saint Louis Health Care SystemのYan Xie氏らが、退役軍人医療データベースを用いたコホート研究で明らかにした。著者は、「COVID-19の重症化リスクが高い患者では、SARS-CoV-2感染後5日以内のモルヌピラビル投与がPASCのリスクを低下する有効なアプローチとなりうる」とまとめている。BMJ誌2023年4月25日号掲載の報告。

今後もマスクをする人は約4割/アイスタット

 2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが、2類から5類へ移行することで施策が大きく変わる。今後、一般市民は新型コロナウイルス感染症にどのように対応していくのか。マスクの着用は個人の自由になるが、はたしてどのように考えているのか。株式会社アイスタットは4月13日に「今後のマスク着用&コロナワクチン接種」に関するアンケートを行った。  アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~59歳の有職者300人が対象。

喘息診断で注目、タイプ2炎症バイオマーカーの手引き発刊/日本呼吸器学会

 タイプ2炎症は、主に2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)や2型自然リンパ球(ILC2)が産生するIL-4、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが作用する炎症である。気道・肺疾患と密接な関係にあり、診断や治療に直結する。とくに、生物学的製剤の治療選択や効果予測に重要な役割を果たすことから、近年注目を集めている。そのような背景から、「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」が2023年4月3日に発刊された。第63回日本呼吸器学会学術講演会において、本書の編集委員長を務めた松永 和人氏(山口大学大学院医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座 教授)が「タイプ2炎症バイオマーカーが切り拓く未来」と題し、主に「喘息の診断と管理効率の向上」「疾患修飾による喘息寛解の展望」について、解説した。

日本におけるオミクロン対応2価ワクチンの有効性~多施設共同研究/感染症学会・化学療法学会

 2021年7月より新型コロナワクチンの有効性を長期的に評価するために開始された多施設共同サーベイランス研究「VERSUS study [Vaccine Effectiveness Real-time Surveillance for SARS-CoV-2]」の最新の結果について、4月28~30日に開催された第97回日本感染症学会総会・学術講演会/第71回日本化学療法学会学術集会合同学会にて、長崎大学の前田 遥氏が発表した。本結果により、国内の高齢者に対するオミクロン対応2価ワクチンの発症予防および入院予防の有効性が、国内の若年者および欧米のデータよりも高いことが示唆された。