内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:179

モデルナXBB対応コロナワクチン、新変異株EG.5やFL.1.5.1にも有効

 米国・Moderna社は8月17日付のプレスリリースにて、2023年秋の新型コロナワクチン接種に向けて承認申請中のXBB系統対応ワクチン(mRNA-1273.815)について、予備的臨床試験で、全世界で感染が拡大している新たな変異株EG.5およびFL.1.5.1に対して、中和抗体の有意な増加が確認されたことを発表した。本結果により、同社の新たなワクチンが、今季流行が懸念される変異株にも効果的であることが示唆された。  新たな変異株であるEG.5は「エリス」とも呼ばれ、世界保健機関(WHO)は8月9日にこの変異株を含むEG.5系統を「注目すべき変異株(VOI)」に指定した。EG.5はXBB.1.9.2の子孫系統であり、XBB.1.5と同じスパイクアミノ酸プロファイルを持つ。

アルツハイマー病のリスク因子

 アルツハイマー病は最も一般的な認知症であるが、その原因はいまだ不明である。その理由として、多因子疾患であるアルツハイマー病に関する研究が十分に行われていない可能性が挙げられる。オーストラリア・シドニー大学のMichael Allwright氏らは、UK Biobankのデータセットを用いて、アルツハイマー病に関連する既知のリスク因子をランク付けし、新たな変数を模索するため本研究を実施した。その結果、アルツハイマー病の最も重大なリスク因子は、APOE4対立遺伝子の保有であることが再確認された。APOE4キャリアにおける新たなリスク因子として肝疾患が抽出された一方で、「不眠/不眠症」は、APOE4のステータスとは無関係にアルツハイマー病の予防効果が確認された。著者らは、肝疾患を含む併存疾患の将来的な治療により、アルツハイマー病のリスクが同時に低下する可能性があるとしている。Aging Brain誌2023年6月17日号の報告。

医療者のメンタルヘルス、1日20分の在宅運動で改善

 COVID-19のパンデミック中、医療従事者のメンタルヘルスは著しく低下したことが報告されている。医療従事者を対象に、アプリを使った在宅運動プログラムの介入を行い、メンタルヘルスが改善するかどうかを見た試験の結果が、JAMA Psychiatry誌オンライン版2023年8月9日号に掲載された。  ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のVincent Gosselin Boucher氏らの研究チームは2022年4月6日~7月4日に同エリアの医療機関において参加者を募集した。参加者は指定のアプリを使い、自重インターバルトレーニング、ヨガ、バー運動など、在宅で行う20分/日、週4回の運動を、12週間継続するように求められた。運動に対するアドヒアランスはアプリ利用時間から測定した。

高齢コロナ感染者の退院後死亡率、インフルより高い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院後に生存退院した米国の65歳以上の高齢者(メディケア受給者)88万3,394人を含む後ろ向きコホート研究で、インフルエンザで入院後に生存退院した高齢者と比較した結果、COVID-19で入院した高齢者の生存退院後の死亡リスクが高率であったことが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAndrew S. Oseran氏らにより明らかにされた。ただし、両者の差は退院後の早期においてみられるものであり、同死亡リスクはパンデミックの経過と共に漸減していたという。BMJ誌2023年8月9日号掲載の報告。

HIVはコンドーム無しのセックスでもうつりません―How low viral load is low enough for HIV zero transmission(解説:岡慎一氏)

HIVはセックスでうつるので、コンドームで予防しましょう。これは、わが国で40年間言われ続けている予防法である。「HIVが感染したのは、コンドームの使い方が悪かったからだ」と、使い方まで事細かに指導されてきた。しかし、感染は減らなかった。曝露前予防(PrEP)の有効性が確認されると、「PrEPでコンドームの使用が減るので、ほかの性感染症が増える」と、PrEPを批判する人まで出てくる始末である。コンドームを使うなとは言わないが、口からでもうつる梅毒はコンドームでは防げない。ほかの性感染症もしかり。この10年、HIV感染予防に有効なのは、コンドームではなく「治療でウイルス量を下げることだ」ということが、多くの臨床研究から明らかになってきた。

アミリンアナログとGLP-1受容体作動薬の配合剤は肥満を伴う2型糖尿病に有効である(解説:小川大輔氏)

肥満を伴う2型糖尿病の治療として、GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドが有効であることは周知のとおりである。一方、新規のアミリンアナログであるcagrilintideは肥満症の治療薬として期待が高まっている。今回、BMI 27以上の2型糖尿病患者を対象に、週1回投与のセマグルチド2.4mgとcagrilintide 2.4mgの配合剤(CagriSema)の第II相臨床試験の結果がLancet誌に発表された。アミリンは高血糖時にインスリンと共に膵β細胞から分泌されるホルモンであり、視床下部の食欲中枢に作用して胃の内容物排出速度を低下させ、満腹感を促進する。アミリンアナログであるpramlintideは1型および2型糖尿病の治療薬として2005年にFDAによって承認された。しかし作用時間が短く、1日2~3回注射しなければいけないため実際にはほとんど使用されていない。その後、長時間作用型のアミリンアナログであるcagrilintideが開発され、GLP-1受容体作動薬と共に肥満症の治療薬として期待されている。

経口GLP-1受容体作動薬の肥満症に対する効果(解説:小川大輔氏)

2023年8月現在、欧米で肥満症の治療薬として使用されているGLP-1受容体作動薬は、リラグルチドとセマグルチドの2製剤であり、いずれも注射薬である。一方、GLP-1受容体作動薬の経口薬(経口セマグルチドの最大用量は14mg)は、2型糖尿病の治療薬として承認されており、その減量効果は注射薬と比べて低い。今回、2型糖尿病を伴わない肥満症の成人を対象とした、経口GLP-1受容体作動薬であるセマグルチド50mgの1日1回投与の試験結果が、第83回米国糖尿病学会年次学術総会で発表され、Lancet誌に掲載された。この第III相試験は北米や欧州など9ヵ国、50医療機関において実施された。

2型糖尿病の肝硬変、GLP-1受容体作動薬により死亡リスク減

 肝硬変は2型糖尿病と関連していることが多いものの、肝硬変患者を対象とした2型糖尿病治療に関する研究はほとんどない。今回、台湾・Dr. Yen's ClinicのFu-Shun Yen氏らは2型糖尿病の肝硬変患者を対象にGLP-1受容体作動薬による長期アウトカムを調査した。その結果、2型糖尿病の肝硬変(代償性)患者がGLP-1受容体作動薬を使用した場合、死亡、心血管イベント、非代償性肝硬変、肝性脳症、肝不全のリスクが有意に低くなることが示された。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年6月16日号掲載の報告。  研究者らは台湾の国民健康保険研究データベースを用い、傾向スコアマッチング法により2008年1月1日~2019年12月31日のGLP-1受容体作動薬の使用者と未使用者467組を選定した。

学校でのコロナ感染対策、マスクとワクチン完全接種が有用

 学校の生徒と職員を対象に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の学校内での感染リスクについて、2年間の接触追跡データに基づいた調査が、米国・マサチューセッツ総合病院のSandra B. Nelson氏らの研究チームによって行われた。その結果、学校生活において、マスクの使用状況やワクチン接種状況、校内の活動や地域の社会的状況など、感染リスクが高くなる要因が明らかになった。JAMA Health Forum誌2023年8月4日号に掲載の報告。  本調査は、マサチューセッツ州の幼稚園から中等教育までの学校を対象に、2020年秋~21年春学期(F20/S21、従来株の優勢期)および2021年秋学期(F21、デルタ株の優勢期)の2つの期間にわたって行われた。F20/S21は70校3万3,000人以上、F21は34校1万8,000人以上が参加した。学校内でSARS-CoV-2に2次感染した割合をSAR(Secondary Attack Rate)と定義した。SARは検査によって確認された値で算出した。感染と関連する可能性のある要因(学年、マスクの着用、曝露した場所、ワクチン接種歴、および社会的脆弱性指数[SVI]など)について、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。

コロナ2価ワクチンのブースター接種、安全性が示される/BMJ

 50歳以上の成人において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する4回目ブースター接種ワクチンとしてのオミクロン株対応2価mRNAワクチンは、事前規定の27種の有害事象に関するリスク増大との関連は認められなかったことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らによる同国の50歳以上の接種者を対象に行った試験で示された。BMJ誌2023年7月25日号掲載の報告。  研究グループは2021年1月1日~2022年12月10日に、COVID-19ワクチンを3回接種した50歳以上の成人222万5,567人を対象とするコホート試験を行った。