内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

インフル・コロナ混合ワクチン、50歳以上への免疫原性・安全性確認/JAMA

 インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の混合ワクチン「mRNA-1083」の免疫原性と安全性を、50歳以上の成人を対象に評価した第III相無作為化観察者盲検試験の結果が報告された。開発中のmRNA-1083は、推奨されるインフルエンザワクチン(高用量、標準用量)およびCOVID-19ワクチンと比較して非劣性基準を満たし、4種すべてのインフルエンザ株(50~64歳)、SARS-CoV-2(全年齢)に対して高い免疫応答を誘導したことが実証され、許容可能な忍容性および安全性プロファイルが示された。米国・ModernaのAmanda K. Rudman Spergel氏らが報告した。JAMA誌オンライン版2025年5月7日号掲載の報告。

β遮断薬やスタチンなど、頻用薬がパーキンソン病発症を抑制?

 痛みや高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療薬として、アスピリン、イブプロフェン、スタチン系薬剤、β遮断薬などを使用している人では、パーキンソン病(PD)の発症が遅くなる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。特に、PDの症状が現れる以前からβ遮断薬を使用していた人では、使用していなかった人に比べてPDの発症年齢(age at onset;AAO)が平均で10年遅かったという。米シダーズ・サイナイ医療センターで神経学副部長兼運動障害部門長を務めるMichele Tagliati氏らによるこの研究結果は、「Journal of Neurology」に3月6日掲載された。

糖尿病や腎臓病リスクが高まる健診の未受診期間は?/H.U.グループ中央研究所・国循

 2型糖尿病の進展は、糖尿病性腎症や透析を含む合併症の発症など健康上の大きな問題となる。年1回の健康診断と健康転帰との良好な関係は周知のことだが、定期的な健康診断をしなかった場合の2型糖尿病および透析への進展に及ぼす影響についてはどのようなものがあるだろうか。この課題に対して、H.U.グループ中央研究所の中村 いおり氏と国立循環器病研究センターの研究グループは、年1回の健康診断の受診頻度と糖尿病関連指標との関連、および透析予防における早期介入の潜在的影響について検討した。その結果、健康診断を3年以上連続して受診しなかった人は、2型糖尿病のリスクが高いことが示唆された。

歩く速度が不整脈リスクと関連

 歩行速度が速い人は不整脈リスクが低いという関連のあることが報告された。英グラスゴー大学のJill Pell氏らの研究によるもので、詳細は「Heart」に4月15日掲載された。歩行速度で3群に分けて比較すると、最大43%のリスク差が認められたという。  これまで、身体活動が不整脈リスクを抑制し得ることは知られていたが、歩行速度と不整脈リスクとの関連についての知見は限られていた。Pell氏らはこの点について、英国で行われている一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータを用いて検討した。

中年患者へのスタチン使用、白内障リスク上昇

 近年、スタチンの使用が白内障の発症に影響を及ぼす可能性が示唆されている。そこで、日本人におけるスタチン使用と白内障の発症との関連性について、日本大学薬学部のKazuhiro Kawabe氏らが検討し、中年層でのスタチン使用が白内障リスクを約1.5倍高めることを明らかにした。Scientific Reports誌2025年4月19日号掲載の報告。  研究者らは、日本人の健康診断および保険請求データベースの2005年1月1日~2017年12月31日に記録されたデータを用いて後ろ向きコホート研究を実施。健康診断データの脂質異常症117万8,560例のうち72万4,200例をスタチン非使用群とスタチン使用群(新規使用)に分類し、未調整/年齢・性別による調整/多変量調整のハザード比(HR)を算出してCox比例ハザード回帰分析を行った。主要評価項目はスタチンの使用と白内障リスクの関連性を評価。副次評価項目として、使用されたスタチンの力価や特徴、スタチンごとの白内障リスクを評価した。

気候変動はアレルギー性鼻炎を悪化させる?

 アレルギー性鼻炎を持つ人にとって、春は、涙目、鼻づまり、絶え間ないくしゃみなどの症状に悩まされる季節だが、近年の地球温暖化はこのようなアレルギー性鼻炎を悪化させる可能性があるようだ。新たな研究で、気候変動が進むにつれ、花粉アレルギーのシーズンはいっそう長くなり、アレルギー性鼻炎の症状もより重症化することが予想された。米ジョージ・ワシントン大学医学部のAlisha Pershad氏らによるこの研究結果は、「The Laryngoscope」に4月9日掲載された。  気候変動が健康にもたらす悪影響は、世界的な問題として深刻化している。地球温暖化は炎症性上気道疾患、中でもアレルギー性鼻炎に影響を与えることが示されており、耳鼻咽喉科領域での影響は特に顕著である。このことを踏まえてPershad氏らは、データベースから選出した30件の研究結果のレビューを実施し、気候変動が世界の成人および小児におけるアレルギー性鼻炎にどのような影響を与え得るかを調査した。

日常的なデジタル機器の使用は高齢者の脳の健康を守る?

 一般に、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器の使い過ぎは、脳に悪影響を及ぼすと考えられている。しかし実際には、その逆の可能性があるようだ。少なくともテクノロジー革命の始まりを経験した世代におけるデジタル機器の日常的な使用は、認知機能障害のリスクを58%低下させる可能性のあることが明らかになった。これは血圧低下や運動、脳トレのゲームによるリスクの低下度に匹敵するという。米テキサス大学オースティン校コンプリヘンシブ・メモリー・センターのJared Benge氏と米ベイラー大学心理学・神経科学分野のMichael Scullin氏によるこの研究結果は、「Nature Human Behaviour」に4月14日掲載された。

起立性高血圧に厳格降圧治療は有効か?/BMJ(解説:桑島巖氏)

「起立性低血圧」は臨床上よく耳にする疾患だが、「起立性高血圧」という言葉は、ほとんどの医師にはなじみがない言葉であろう。起立性低血圧を疑い、外来で座位と立位の血圧を測定する場合や、tilting test(傾斜テスト)を実施する医師にとっては、起立性高血圧はしばしば遭遇する現象である。この現象が身体に有害であるか否かは不明であるため、あえて“現象”という言葉で表現する。本論文は、その起立性高血圧現象が高血圧治療によって軽減するか否かをメタ解析し、厳格に高血圧治療を行っている群のほうが、非厳格治療群よりも起立性高血圧現象が少なかったという結論である。

SSRI/SNRIの使用がベンゾジアゼピン依存性に及ぼす影響

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の使用とベンゾジアゼピン使用パターンとの関係、両剤併用の経時的変化について、米国・Vanderbilt University Medical Center のKerry L. Kinney氏らが調査を行った。Drug and Alcohol Dependence Reports誌2025年6月号の報告。  2020〜22年にベンゾジアゼピンを使用した患者847例を電子カルテより分析した。対象患者は、SSRI使用群、SNRI使用群、非使用群に分類した。

糖尿病予防、メトホルミンも長期効果

 米国糖尿病予防プログラム(DPP)は、2型糖尿病の発症リスクが高い成人3,234人を対象とした3年間のランダム化臨床試験で、生活習慣介入(Intensive Lifestyle Intervention:ILS、食事・運動・体重管理への集中的介入)、メトホルミン投与、プラセボ投与の3群における、2型糖尿病発症率の違いを比較することを目的としていた。2002年に糖尿病発症率がILS群で58%、メトホルミン群で31%減少したことが報告されている。  DPP試験はプロトコル改訂を経て、DPPアウトカムズ研究(DPPOS試験)として継続された。参加者を長期(20年以上)追跡し、治療効果の長期的な影響を評価した。本試験の結果を米国・ジョージ・ワシントン大学のWilliam C. Knowler氏らが、The Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2025年4月28日号で報告した。