内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

「定員調整」しても研修医の地域偏在解消は困難

「定員調整」だけでは臨床研修医の定員充足率や地域間格差は解消されない。井出 博生氏(順天堂大学大学院健康データサイエンス研究科 准教授)、小池 創一氏(自治医科大学地域医療学センター 教授)らの共同研究グループは、過去の医師臨床研修マッチングのデータを用いて、各都道府県の臨床研修プログラムの定員枠を増減・再配分するシミュレーションを行い、こう結論付けた。現在のマッチング制度の定員枠だけを地方に移しても地域偏在の緩和は難しいことを定量的に示したもので、研究グループはマッチングシステムの改善と医師偏在対策関連施策の一体的な取り組みの必要性を指摘している。論文はBMC Medical Education誌オンライン版に2026年9月14日付で公開された。

肝硬変リスク、飲酒の影響が肥満や糖尿病を上回る/J Hepatol

アルコール摂取と心代謝リスク因子は、肝硬変リスクに複合的に関与することが注目されている。そこで、デンマーク・Zealand University HospitalのJonas Hedelund Ronn氏らは、一般住民コホートを用いて、飲酒量と心代謝リスク因子が肝硬変リスクに及ぼす単独および複合的な影響を検討した。その結果、肝硬変リスクに対する寄与は飲酒が最も大きく、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙もリスク上昇と関連したが、脂質異常症との関連は明確ではなかった。本研究結果は、Journal of Hepatology誌オンライン版2026年8月24日号に掲載された。

少しの身体活動でも心房細動患者の脳卒中リスク低下

 心房細動患者では、たとえ少ない身体活動量でも脳卒中や死亡リスクが低下する可能性を示唆する研究結果が報告された。ノルウェー北極大学(トロムソ大学)のKristoffer Johansen氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に8月5日付で掲載された。  心房細動は不整脈の一種で、脳卒中のリスクを高める。米国では推定1050万人の成人が心房細動に罹患しているとされている。一方、一般住民の脳卒中リスクは、習慣的な身体活動量が多いほど低いことが知られている。

GLP-1/グルカゴン受容体dual agonistであるsurvodutideは肥満症治療薬として有効である(解説:住谷哲氏)

肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬はすでにセマグルチド(商品名:ウゴービ)が市場に登場して多くの患者に処方されている。さらにGLP-1/GIP受容体のdual agonistであるチルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)も処方可能となっている。本試験SYNCHRONIZE-1で検討されたのはGLP-1/グルカゴン受容体のdual agonistであるsurvodutideである。survodutideは内因性ホルモンであるoxyntomodulinの誘導体である。oxyntomodulinは37アミノ酸からなるペプチドホルモンでグルカゴン分子に8アミノ酸が付加されており、グルカゴンの前駆ホルモンであるproglucagonから産生される。ちなみにGLP-1も同じproglucagonから産生される(GIPは別の前駆体であるproGIPから産生される)。

早期および晩期発症のアルツハイマー病における抗Aβ免疫療法後の脳容積推移

 抗アミロイドβ免疫療法(AAT)の試験において、脳容積減少の加速が観察されている。しかし、早期発症アルツハイマー病(EOAD)と晩期発症アルツハイマー病(LOAD)における、この逆説的な現象については、依然として十分にわかっていない。米国・ウェストバージニア大学のRashi I. Mehta氏らは、EOADおよびLOADにおけるAAT後の脳容積の変化をレトロスペクティブに解析した。Alzheimer's & Dementia誌2026年8月22日号の報告。  AAT開始後1年間の脳容積の変化をレトロスペクティブに解析した。脳容積の年間変化率を算出し、線形混合効果モデルを用いて、EOADとLOADにおける脳容積の経時的変化を評価した。

高齢者の骨折予防にビタミンD補充は有効か

 ビタミンD単独補充による骨折予防効果については、これまで一貫した結果が得られていない。今回、ビタミンD3が骨折リスクなどに及ぼす影響を評価した無作為化比較試験(FIND試験)により、ビタミンDがおおむね充足している高齢者集団ではビタミンD3補充を5年間行っても骨折リスクは低下しなかったことが、フィンランド・University of Eastern FinlandのToni Rikkonen氏らによって示された。Bone誌2026年12月号掲載の報告。  本試験の対象は、フィンランド在住の心血管疾患やがんの既往歴のない60歳以上の男性および65歳以上の女性であった。ビタミンD3を1,600 IU/日摂取する群、ビタミンD3を3,200 IU/日摂取する群、プラセボを摂取する群に1:1:1に無作為に割り付けられ、それぞれを5年間補充した。骨折はフィンランドの全国医療登録および死亡原因登録から把握した。骨折リスクは、年齢と性別で調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて評価し、プラセボ群を基準としたビタミンD3補充群のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

階段を上ることで死亡リスク24%低下か~メタ解析

 エレベーターではなく階段を使うことは、思っている以上に健康に良いかもしれない。「American Journal of Cardiovascular Drugs」に8月13日付で報告された研究で、階段を上ることは、心血管疾患(CVD)による死亡リスクの39%の低下、全死因死亡リスクの24%の低下と関連することが明らかになった。  論文の上席著者である英イースト・アングリア大学ノリッジ医学校心臓病学教授のVassilios Vassiliou氏は研究背景について、「階段を上ることは日常生活に身体活動を取り入れるための実用的な方法だが、見過ごされがちである。われわれは、この日常的な活動に命を救う可能性がどれほどあるのかについて、理解を深めたかった」と述べている。

PCI後のACS患者、プラスグレルvs.チカグレロル/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群患者において、標準的に使用するP2Y12阻害薬としてプラスグレルを用いても、チカグレロルと比較し主要心血管イベントのリスクは改善しなかった。スウェーデン・ヨーテボリ大学のElmir Omerovic氏らが、研究者主導のステップウェッジ法を用いた非盲検クラスター無作為化比較試験「SWITCH-SWEDEHEART試験」の結果を報告した。急性冠症候群患者において、P2Y12阻害薬としてプラスグレルとチカグレロルのどちらを優先すべきかは明らかになっていない。NEJM誌オンライン版2026年8月29日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

単純性膀胱炎へのセフェム、第3世代vs.第1/2世代~日本の4万例を解析

セフェム系薬は単純性膀胱炎に対して用いられるが、第3世代は第1/2世代と比べて経口バイオアベイラビリティが低く、臨床効果に差が生じる可能性がある。そこで、谷口 順平氏(東京大学)らは、日本のレセプトデータベースを用いて、女性の急性単純性膀胱炎に対する経口の第3世代セフェム系薬と第1/2世代セフェム系薬(セファレキシンまたはセファクロル)の有効性を比較した。その結果、経口の第3世代セフェム系薬は、セファレキシンやセファクロルと比較して、腎盂腎炎診断または抗菌薬の追加使用の複合アウトカムが多かった。ただし、この差は主に抗菌薬の追加使用によるもので、腎盂腎炎診断には差がなかった。本研究結果は、European Journal of Clinical Microbiology & Infectious Diseases誌オンライン版2026年8月7日号に掲載された。

クリーニング店の近くに住む人はパーキンソン病リスクが高い?

 クリーニング店の近くに住んでいる人では、パーキンソン病リスクが上昇する可能性があるようだ。8月5日付で「npj Parkinson’s Disease」に早期公開された研究で、ドライクリーニングを扱うクリーニング店(以下、クリーニング店)から約500フィート(約152 m)以内に住んでいる人では、4~5マイル(約6.4~8 km)離れた場所に住んでいる人と比べて、パーキンソン病である可能性が高いことが示された。また、自宅がクリーニング店から離れているほど、パーキンソン病リスクは低かったという。